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「霜月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

霜月の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
の日に出掛けようとすると、母がお前にも言うて置くが民子は嫁に往《い》った、去年の霜月やはり市川の内で、大変裕福な家だそうだ、と簡単にいうのであった。僕ははアそう....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
は蔦かずら木曾の桟橋、寝覚の床などを見物のつもりで、上松までの切符を持っていた。霜月の半ばであった。 「……しかも、その(蕎麦二|膳)には不思議な縁がありました....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の字もねえんで……」と、熊蔵はまじめになって膝を揺り出した。「去年の冬、なんでも霜月の中頃からわっしの家の二階へ毎日遊びに来る男があるんです。変な奴でしてね、ど....
古狢」より 著者:泉鏡花
た様子でしょう。 旅行はどうしてしたでしょう。鹿落の方角です、察しられますわ。霜月でした――夜汽車はすいていますし、突伏してでもいれば、誰にも顔は見られません....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
桑名につきたる悦びのあまり…… と口誦むように独言の、膝栗毛五編の上の読初め、霜月十日あまりの初夜。中空は冴切って、星が水垢離取りそうな月明に、踏切の桟橋を渡....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、ちょっと清書にいたし、方々の御内見に入れますので、世間晴れての勤めは、更めて来霜月の初旬、さるその日本の舞台に立つ筈でござる。が、剣も玉も下磨きこそ大事、やが....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
堀裏のバラック建のアパアトの小使、兼番人で佗しく住んだ。身辺の寒さ寂しさよ。……霜月末の風の夜や……破蒲団の置炬燵に、歯の抜けた頤を埋め、この奥に目あり霞めり。....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
をなさろうかも知れませぬ。 ――夜泣松の枝へ、提灯を下げまして、この……旧暦の霜月、二十七日でござりますな……真の暗やみの薄明に、しょんぼりと踞んでおります。....
元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
って居るのも不思議である。彼の坊さんは草の枯れた広野を分けて衣の裾を高くはしょり霜月の十八日の夜の道を宵なので月もなく推量してたどって行くと脇道から人の足音がか....
式部小路」より 著者:泉鏡花
?」 「ああ、そうともお前、私がお目にかかった時なんざ、そりゃおいとしかったよ。霜月だというのに、汚れた中形の浴衣を下へ召して、襦袢にも蹴出しにもそればかり。縞....
註文帳」より 著者:泉鏡花
も、いや先方様でも大喜び、実は鏡についてその話のあったのは、御維新になって八年、霜月の十九日じゃ。月こそ違うが、日は同一、ちょうど昨日の話で今日、更めてその甥御....
雪柳」より 著者:泉鏡花
に逢う事、というのがある。 当時の俳諧師、雪中庵の門人、四五輩。寛延|年不詳、霜月のしかも晦日、枯野見からお定まりの吉原へ。引手茶屋で飲んだのが、明日は名にお....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
も思ったが、年の割に頭も禿げているし、露出に――学校教授、槙村と名刺で済ました。霜月、もみじの好季節に、年一回の催能、当流第一人のお役者が本舞台からの乗込みであ....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
て、さびしき墓地の春のゆうぐれ、最ど静に寂しく暮れてゆく。 思い出ずれば古年の霜月の末、姉の児の柩を送りてここへ来りし日は、枯野に吠ゆる冬の風すさまじく、大粒....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
きも、風ありてしのぎやすし。 四過。 (四たび赤道をよぎりてようやく東に帰れば、霜月(陰暦十一月)のはるかな洋上に三伏〈立秋後最初の庚の日・末伏〉の風が吹いてい....