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霜焼け
「霜焼け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霜焼けの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
言って来ましょう。お父さんもすっかり弱ってしまってね。障子の方へ向っている耳だけ
霜焼けが出来たりしているのよ。」
お鈴は長火鉢の前を離れる前に何となしに鉄瓶を....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。切り下げにした厚い黒漆《こくしつ》の髪《かみ》の毛の下にのぞき出した耳たぶは
霜焼けでもしたように赤くなって、それを見ただけでも、貞世は何か興奮して向こうを向....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
もふるえて来て、生唾をぐっと呑み込み、 ――ながす涙の水こぼし…… いきなり
霜焼けした赤い手を掴んだ。声も立てぬのが、軽部は不気味だった。その時のことを、あ....
「わが町」より 著者:織田作之助
マニラへ行く前から黒かったという他吉の孫娘とは思えぬほど色も白く、 「あれで手に
霜焼けひび赤ぎれさえ無かったら申し分ないのやが……」 と言われ、なお愛嬌もよく....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
家々から尻の来るのにも困ったという。和助の世話をし始めたばかりのころは、お婆さん
霜焼けが痛いと言って泣き出すほどの子供で、そのたびにそばに寝ているお婆さんが夜中....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
包を背負った村の娘が足袋跣《たびはだ》しで雪の中をやって来てくれた。手から顔まで
霜焼けのしているような娘だが、素直そうで、それに無口なのが何よりも私には工合が好....
「雨」より 著者:織田作之助
に声もふるえてきて、生つばを呑みこみ、 「ながす涙の水こぼし……」 いきなり、
霜焼けした赤い手を掴んだ。声も立てぬのが、軽部には不気味だった。その時のことを、....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
襟巻がだらりと垂れ下った膝の上には、大きな風呂敷包みがあった。その又包みを抱いた
霜焼けの手の中には、三等の赤切符が大事そうにしっかり握られていた。私はこの小娘の....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
の決め方にも人情にかなわない無理があることを免れない。目の前に自分の子どもの手が
霜焼けている。新聞に支那の洪水の義捐の募集が出ている。手袋を買ってやる金を新聞社....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
ぎもせず、長い、雪に埋もれた冬の間、火もない土間で、夜まで繩をなったために、手は
霜焼けに蔽われ、髪の毛はかさかさにほおけ立って見える。十七とはいえ、まだ女になら....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
ほど、黄色い日の中に照らしだされたその手は紫ばんでコンモリ醜く腫れ上がり、ひどい
霜焼けになって崩れていた。黄ばんだ膿にまじって痛ましく血さえ滲んでいた。 これ....