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霜降り
「霜降り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霜降りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
た時の様な、サッパリした殺され方をした場合には、機関車の車輪には時たまひからびた
霜降りの牛肉みたいな奴が二切三切引ッ掛っている位のもので、後はただ処々に黒い染が....
「光の中に」より 著者:金史良
子供よりも、身装がよごれていて、もう秋も深いというのにまだ灰色のぼろぼろになった
霜降りをつけていた。そのためかも知れないが、彼のまなざしは一層陰鬱で懐疑的に見え....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
れた。伸子はその眼をみると、頭のどこかがジーンとするような途方にくれた気がした。
霜降りの背広をきて、話のあい間には、両方のひじをふりひろげるようにもみ手をまじえ....
「青年」より 著者:森鴎外
た、巌乗な、肩の廉張った男である。器械刈にした頭の、筋太な、とげとげしい髪には、
霜降りのように白い処が交っていて、顔だけつやつやして血色が好い。夫人はその男にこ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
事業に着手した。何一つするにも恐ろしく時間がかかった。で、ときどき八字髭の女や、
霜降りの木綿軍服を着た兵隊が田舎の恋人に手紙を書いてもらうくらいのもので、たいが....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
んでいるところのあるものである。 ○ 葦べ行く鴨の羽がひに
霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ 〔巻一・六四〕 志貴皇子 文武天皇が慶雲三年(....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
に妙な男が突っ立っていた。 三十前後かと思われる背の低い男である。汚れた小倉の
霜降りの洋服を着て、脚にも泥だらけのゲートルをまき、草鞋を履いている。頭髪は長く....
「星」より 著者:国木田独歩
女星は早くも詩人が庭より立ち上る煙を見つけ、今宵はことのほか寒く、天の河にも
霜降りたれば、かの煙たつ庭に下りて、たき火かきたてて語りてんというに、男星ほほえ....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
意に喬介が云った。 「見給え、郵便屋の双生児がやって来る!」 ――全く、見れば
霜降りの服を着て、大きな黒い鞄を掛けたグロテスクな郵便屋の双生児がポストの側から....
「双面獣」より 著者:牧逸馬
りのない標準英語を語《はな》す。服装は、二年位い経た紺サアジの三つ組、薄茶と緑の
霜降りの外套、その右肩に一見何人も気の付く著しい油の汚点がある。大きな眉庇《ひさ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
賢名士が多数出席した。話をした人は、快活な、むさ苦しいなりをした紳士風な老人で、
霜降りの洋服を着て、顔に悲しげな影はあったが愉快そうであった。わたしが感じたとこ....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
はじめてである。まず、これに箸をつけて口へ持っていった。肉の艶は緋牡丹色で牛肉の
霜降りのように脂肪の層が薄く出ている。それを噛むと牛肉のような硬さがない。そして....
「鮪を食う話」より 著者:北大路魯山人
る。また脇道に逸れたが、男の美味いとするまぐろの刺身の上乗なものは、牛肉のヒレ、
霜降りに当たるようなもので、一尾の中、そうたくさんあるものではない。胴回りでいえ....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
と、見知らない一人の青年が笑いながら立っていた。背の高い、細長い体に、厚ぼったい
霜降りの外套を着て、後襟だけをツンと立てているが、うす紅色の球の大きなロイド眼鏡....
「猪の味」より 著者:北大路魯山人
らい持って買いに行くのが常であった。もっとも、当時は牛肉ならば鹿の子(東京でいう
霜降りロースに当る)が三銭位で買えた時代であるから、五銭出すというのは、猪の肉だ....