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霞
「霞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、平骨《ひらぼね》の扇を上げて、通りかかりの老婆を呼びとめた。――
むし暑く夏
霞《なつがすみ》のたなびいた空が、息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
日の戦ですな。烏江《うこう》に追いつめられた時の楚の軍は、たった二十八騎です。雲
霞《うんか》のような味方の大軍に対して、戦った所が、仕方はありません。それに、烏....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
羽二重《しろはぶたえ》の足袋が現れました。続いて仄《ほの》かな波の空に松と鶴とが
霞んでいる裾模様が見えました。それから錦襴《きんらん》の帯、はこせこの銀鎖、白襟....
「文放古」より 著者:芥川竜之介
二階へ上《あが》ると、最勝寺《さいしょうじ》の塔が見えるんでしょう。そのまた塔の
霞の中に九輪《くりん》だけ光らせているところは与謝野晶子《よさのあきこ》でも歌い....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
まい。もしそれが靄だったと致しましたら、その向うにある御堂《みどう》の屋根などは
霞んで見えない筈でございますが、この雲気はただ、虚空《こくう》に何やら形の見えぬ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
出した。そうしてその裂《さ》け目からは、言句《ごんく》に絶した万道《ばんどう》の
霞光《かこう》が、洪水のように漲《みなぎ》り出した。
オルガンティノは叫ぼうと....
「竜」より 著者:芥川竜之介
上に立って眺めますと、見渡す限り西も東も一面の人の海で、それがまた末はほのぼのと
霞をかけた二条の大路《おおじ》のはてのはてまで、ありとあらゆる烏帽子《えぼし》の....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の蝗《いなご》のごとく、日の光に羽根を光らせながら、折から空に懸《かか》っている
霞の中へ飛んで行った。が、その中でも白い隼《はやぶさ》の羽根の矢ばかりは、必ずほ....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
下るのに従い、やはり次第に股を縮め、とうとう両脚を揃《そろ》えたと思うと、徐ろに
霞《かす》んで消えてしまう。
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広い暗《やみ》の中に懸った幾つか....
「或る女」より 著者:有島武郎
せた。そしていろいろな風聞が、清教徒風に質素な早月の佗住居《わびずまい》の周囲を
霞《かすみ》のように取り巻き始めた。
突然小さな仙台市は雷にでも打たれたように....
「或る女」より 著者:有島武郎
てそれがどうしてもいい徴候でない事を知った。そればかりではない。二人《ふたり》は
霞《かすみ》を食って生きる仙人《せんにん》のようにしては生きていられないのだ。職....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《もうもう》と立上る様を待ち遠しげに眺めやった。マッカリヌプリは毎日紫色に暖かく
霞《かす》んだ。林の中の雪の叢消《むらぎ》えの間には福寿草《ふくじゅそう》の茎が....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
りと音もなく岸辺に寄せる真青な海の水……薄絹を拡げたような、はてしもなくつづく浅
霞……水と空との融け合うあたりにほのぼのと浮く遠山の影……それはさながら一|幅の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
から離れて幽界へなだれ込む。すると其所には、残忍性にとめる在来の堕落霊どもが、雲
霞の如く待ち構えていて、両者がグルになって、地上の堕落せる人間に働きかけるから、....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
を凭せて、ぼんやり空ばかり眺めていました。空には、もう細い月が、うらうらと靡いた
霞の中に、まるで爪の痕かと思う程、かすかに白く浮んでいるのです。 「日は暮れるし....