»
霧
「霧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
もっているものの、何か無限にもの悲しい表情。しかしこの顔もしばらくの後《のち》、
霧のようにどこかへ消えてしまう。
47
縦《たて》に見....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
考えた。
四
柘榴口の中は、夕方のようにうす暗い。それに湯気が、
霧よりも深くこめている。眼の悪い馬琴は、その中にいる人々の間を、あぶなそうに押し....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
、一生|己《おれ》の代りに、大事に飼ってやってくれ。」と言うかと思うと、その姿は
霧のように消えて、見えなくなってしまいました。
髪長彦は大喜びで、この白犬と一....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
爵の懐古的な詠歎《えいたん》に釣りこまれて、出来るなら今にも子爵と二人で、過去の
霧の中に隠れている「一等|煉瓦《レンガ》」の繁華な市街へ、馬車を駆りたいとさえ思....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
つくり合った。同時に内陣の壁は、――サン・ミグエルの画《え》を描《か》いた壁は、
霧のように夜へ呑まれてしまった。その跡には、――
日本の Bacchanali....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ん。僕は前に穂高山はもちろん、槍《やり》ヶ|岳《たけ》にも登っていましたから、朝
霧の下《お》りた梓川の谷を案内者もつれずに登ってゆきました。朝
霧の下りた梓川の谷....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
うか》の細作《さいさく》を欺くために、法衣《ころも》をまとって升屋《ますや》の夕
霧《ゆうぎり》のもとへ通いつめた話を、事明細に話して聞かせた。
「あの通り真面目....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
初夏のやわらかな風にふかれて、ほろほろと白い花を落すのを見た。自分は幾度となく、
霧の多い十一月の夜《よ》に、暗い水の空を寒むそうに鳴く、千鳥の声を聞いた。自分の....
「死後」より 著者:芥川竜之介
沿った道を歩いていた。
道はもう暮れかかっていた。のみならず道に敷いた石炭殻も
霧雨《きりさめ》か露かに濡《ぬ》れ透《とお》っていた。僕はまだ余憤《よふん》を感....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
慣れた部落の横わっている、盆地の方を眺めて見た。が、彼の眼の下には、ただうす白い
霧の海が、それらしい平地をぼんやりと、透《す》かして見せるばかりであった。彼はし....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ました。何でも翁の話では、その名画がどういう訳か、今の内に急いで見ておかないと、
霧のように消えてでもしまいそうな、迷信じみた気もちがしたのだそうです。
主人は....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
習慣、同じ信仰、同じ倦怠のうえを、明けても暮れてもただぐるぐると――。 今夜は
霧が深くたち籠めている。
霧は並木路をつつんでしまって、鈍い光をはなっている瓦斯灯....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
半だったので、一段の壮観をほしいままにした。 六月にはテルニに行って、大瀑布の
霧にうつれる虹を見たが、このとき虹の円形の全体をつけて訪ねて来て、デビーの略服に....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ず取りかこまれたこともあった。だが、昼の光がさせば、こういう悪魔どもはすべて雲散
霧消し、悪魔がいようと、また、それがどんな仕業をしようと、彼は愉快な人生をおくっ....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
を三俵ずつ背負って城下へ出かけて行きました。三人が村を出た時は、まだ河の流れに朝
霧がかかって、河原の石の上には霜が真白に下りていました。 「今日も、はあお天気に....