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「霧中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

霧中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
ってもその直感は参考にしか過ぎないのです。ほんとうの死因、それは私にとっても五里霧中であります。 しかし私はその直感を土台にして、その不幸な満月の夜のことを仮....
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
ならば、その絶景はいかばかりだろうと思うが、今日到底その望みはないので、一行は濃霧中に道を捜しつつ山を降《くだ》って行く。 登る時には長い時間と多くの汗水とを....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
へ飛び込んでしまったのですよ」 そうなってみると、一体犯人が誰なのやら、とんと霧中を彷徨うの感じだった。現象的には、解決の近さを感ずるとは云え、肝心な一人の名....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れもゆくえ不明ですから、詮議の手蔓も切れたわけで……。こんにちの言葉で申せば五里霧中です」 「しかし、まだほかに米吉がいる筈ですが……」 「その米吉が又いけない....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
る。そうして孔子の教えの中にこの特徴が結晶しているのである。 こういう哲学的な霧中のまぼろしはこのくらいに切り上げてもいいと思う。これらは畢竟、前提なしの抽象....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
行状などからして、直覚的に犯人推定を試みたのであった。 説明を聞いて、共に五里霧中にあった刑事連もひとしく同意見を陳べるに到った。 だが、何にせよ、その樫田....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
揉め合っていた事なぞが、判明したに過ぎなかった。 ところが、そうして警察が五里霧中の境を彷徨いはじめようとするその日の夕方になって、ここに突然奇妙な素人探偵が....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
く述べてくれる日までお預けとしなければなるまい。今一人の人物については、全く五里霧中《ごりむちゅう》である。 が、この二人の正体を突き留《と》めさえすれば、こ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
でござる、理でございます。 しかし笑って遣わされ。まず山中毒とでも申すか、五里霧中とやらに※徊いました手前、真人間から見ますると狂人の沙汰ですが、思いの外時刻....
探偵物語の処女作」より 著者:黒岩涙香
から、然らばとて始めて是に著手して見ました。私は全然編年体を改め、先ず読者を五里霧中に置く流でやりましたが、意外にも大当りを致しました。是が翻訳小説の処女作で、....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
書いて行こう? 私の頭は乱れている。何んと云って私は説明をしよう? 私は全く五里霧中だ……ラシイヌ探偵の親切で一旦奪われた紅玉を阿片窟から奪い返して燕楽ホテルへ....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
しかし、空拳と無芸では更に成すべき術もなく、寒山日暮れてなお遠く、徒らに五里霧中に迷い尽した挙句、実姉が大邱に在るを倖い、これを訪ね身の振り方を相談した途端....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
十一時、伯爵は上使によって、一室に蟄居すべきことを命じられた。 人々はみな五里霧中の思いをした。最初の瞥見では、いかにもエセックスが完全に勝利したようにみんな....
西航日録」より 著者:井上円了
。この航海中は格別記すべきほどの珍事なし。ただ海上は気候意外に寒冷にして、往々海霧中にとざされたるも、風波いたって平穏にして、さらに大西洋の航海らしき感を有せざ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
景歌を成さしめた生活と、その生活の上において、なお喪失しなかった「詩」精神とが、霧中にものを見る牧渓の水墨画に「詩」を掴んだのであろう。茶室が水墨画をかけながら....