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露宿
「露宿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
露宿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
除れた横さまの隙より山の麓らしい大ような勾配を認めたように思った。 草枕、旅の
露宿に加えて、夢も皺《しわ》かく老の身ゆえに、寝覚めがちな一夜であるのはもっとも....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
二人は毎夜海岸へ出て黒船の様子を窺《うかが》った。そして疲れると、そのまま海岸で
露宿した。 二十五日夜には、下田の村を流れている川に繋いであった舟を盗み、川口....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
妻五百の歓喜丸に毒を入れ夫に与え道中で食えという、夫旅立ちていまだ食わず夜に入り
露宿すとて、猛獣を畏《おそ》れ丸を樹下に置き自ら樹上に宿す、その夜五百賊王の馬五....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
での十余里はまだ可として、釧路の白糠村役場までは足寄を経て近道の山越えしても中途
露宿して二十五里、はがき一枚の差紙が来てものこ/\出かけて行かねばならなかった話....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
がの」 「それは何ですよ、母さん、非常の元気で、今度も二日も三日も山に焚火をして
露宿しなすったそうですがね。まだなかなか若い者に負けんつもりじゃて、そう威張って....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
以後にも昼夜数度の震動があるので、第宅のあるものは庭に小屋掛をして住み、市民にも
露宿するものが多かった。将軍家定は二日の夜吹上の庭にある滝見茶屋に避難したが、本....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
って、引き返すはずにして、きょうは天候も悪いし、これから農鳥山に登る間に、適当の
露宿地がないというので、まだ早いが一泊することにした。猟師は楓の細木を伐り朴し、....
「震災日記より」より 著者:寺田寅彦
これも捨てておけば建物全体が焼けてしまったであろう。十一時頃帰る途中の電車通りは
露宿者で一杯であった。火事で真紅に染まった雲の上には青い月が照らしていた。 九月....
「成仙」より 著者:田中貢太郎
の弟子でございます。」 といって、代って荷物を荷い、路案内をしてくれたが、星飯
露宿、はるばるといって三日目になってやっとゆき着いた。そこは人間にあるいわゆる上....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
かった。ぼくはこれに名をつけた。 「東川」 この夜はボートを岸につないで三人は
露宿した。 五日 朝六時に起きふたたびボートにあがりただちに川にこぎいれた。ち....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
子外ればかりではなかった。中には楽人の資格を備えている種類もあった。私が楊家屯に
露宿した夕、宵の間は例の蛙どもが破れた笙を吹くような声を遠慮なく張上げて、私の安....
「越中劍岳先登記」より 著者:柴崎芳太郎
い、この絶頂の西南大山の方面に当り二、三間下に奥行六尺、幅四尺位で人の一、二人は
露宿し得るような岩窟がある、この窟の中で何年か焚火した事があるものと見え蘚苔に封....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
そこでまずその晩寝ましたがちょうどそれが陰暦の六月十三日の晩ですから
広原中の
露宿及び雪豹
と寒天に輝いて自分の野宿して居る前を流れて居る川に映っているで....
「しんぱくの話」より 著者:小川未明
霜がおります。そして、星の影は、魔物の目のようにすごく光ります。どんな人間でも、
露宿することはできますまい。あの、あおずんだ、真夜中の景色を、あなたに見せたいも....
「風の寒い世の中へ」より 著者:小川未明
のと後悔したのであります。 捨てられたお人形は、一晩、ものさびしい野原の中で、
露宿しました。嵐の音をきいておそれていました。気味悪く光る星影を見ておののいてい....