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露霜
「露霜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
露霜の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
亙《ふたわた》らす障《さわ》りがあった。 季節は初冬に入っていた。旅寝の衣には
露霜が置いていた。翁は湿り気をふるって起上った。僅かに残っている白い鬢髪からも、....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
に遠ざかって四五日を経過した。 陰暦の九月十三日、今夜が豆の月だという日の朝、
露霜が降りたと思うほどつめたい。その代り天気はきらきらしている。十五日がこの村の....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
冬でも風がなくって静かなせいか夜気の肌触りは身を切るように冷たくっても、ほの白く
露霜を置いた、しっとりとした夜であった。私は、その女の勤めていた先の女主人に会う....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
山かけの池の水さえ浅かれと ことしも来鳴をしの声かな 寒雁啼
露霜のふかき汀の蘆のはに こゑもしをれて雁そ啼なる 春木 ....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
がらず、秋の夜|冷に虫の音遠ざかり行くも観念の友となって独り寝覚の床淋しく、自ら
露霜のやがて消ぬべきを悟り、お辰|素性のあらまし慄う筆のにじむ墨に覚束なく認めて....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
(刀に手を掛く。) 夫人 鷹は第一、誰のものだと思います。鷹には鷹の世界がある。
露霜の清い林、朝嵐夕風の爽かな空があります。決して人間の持ちものではありません。....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
とあるのは、この憶良の歌の模倣である。なお、大伴坂上郎女の歌に、「ひさかたの天の
露霜置きにけり宅なる人も待ち恋ひぬらむ」(巻四・六五一)というのがあり、これも憶....
「荘子」より 著者:岡本かの子
持たせた支離遜だった。低い土塀の際の葉の枯れた牡丹に並んで短い蘭の葉が生々と朝の
露霜をうけた名残の濡色を日蔭に二株三株見せていた。もう正午にも近かろう時刻だった....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
い捨てて男は暗い路をどこへか立ち去った。風はないが寒い夜で、そこらの枯草の上には
露霜が薄白く光っていた。小坂部と采女とは辻堂の縁を降りて、身を摺り合うようにして....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
うという処なんでございます。」 「そうですか、ほんとに思出すわねえ、良い月夜で、
露霜で、しとしとしてねえ。」 「草の中においでなすったお嬢さんのお姿が、爪先まで....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
身にそはゞねても別れじ春の夜の夢 仄かにぞ月は残れる時鳥いま一声をおもかげにして
露霜にあへずかれ行く秋草の糸よりよわき虫のこゑかな 住捨てて残る庵もかたぶきぬ刈....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
ば「道心の起りは花の蕾む時」といったような、髪を剃る前後の複雑した感覚、或いは「
露霜の小村に鉦を叩き入る」という念仏旅行者の物悲しさ、さては万日千日の群衆心理、....