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霽
「霽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
くいろ》は確かに蟇《ひきがえる》の舌の色である。
鴉
わたしは或|雪
霽《ゆきばれ》の薄暮、隣の屋根に止まっていた、まっ青な鴉《からす》を見たことがあ....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
たのですから。天気は冬が来る前の秋によくあるように空の奥の奥まで見すかされそうに
霽《は》れわたった日でした。僕達は先生と一緒に弁当をたべましたが、その楽しみな弁....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、雨落だけの隙を残して、厳しい、忍返しのある、しかも真新い黒板塀が見える。 「見
霽しでも御覧なさいよ。」 と主税を振向いてまた笑う。 酒井が凝と、その塀を視....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
ろう。 その内に、物見の松の梢の尖が目に着いた。もう目の前の峰を越すと、あの見
霽しの丘へ出る。……後は一雪崩にずるずると屋敷町の私の内へ、辷り込まれるんだ、と....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、これはまた境内へ足の入場もなく、崕へかけて倒れてな、でも建物があった跡じゃ、見
霽しの広場になっておりますから、これから山越をなさる方が、うっかり其処へござって....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
一山の仏たち、大な石地蔵も凄いように活きていらるる。 下向の時、あらためて、見
霽の四阿に立った。 伊勢、亀井、片岡、鷲尾、四天王の松は、畑中、畝の四処に、雲....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
騒いだのは争われない。……涼傘を置忘れたもの。…… 森を高く抜けると、三国|見
霽しの一面の広場になる。赫と射る日に、手廂してこう視むれば、松、桜、梅いろいろ樹....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
のである。 前夜まで――唯今のような、じとじと降の雨だったのが、花の開くように
霽った、彼岸前の日曜の朝、宗吉は朝飯前……というが、やがて、十時。……ここは、ひ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
気味の悪い。」 降りしきったのが小留をした、春の雪だから、それほどの気色でも、
霽れると迅い。西空の根津一帯、藍染川の上あたり、一筋の藍を引いた。池の水はまだ暗....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、対うなる、海の面にむらむらと蔓った、鼠色の濃き雲は、彼処一座の山を包んで、まだ
霽れやらぬ朝靄にて、もの凄じく空に冲って、焔の連って燃るがごときは、やがて九十度....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
この雨は間もなく
霽れて、庭も山も青き天鵞絨に蝶花の刺繍ある霞を落した。何んの余波やら、庵にも、座....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
う茶店が一軒、田畝の土手上に廂を構えた、本家は別の、出茶屋だけれども、ちょっと見
霽の座敷もある。あの低い松の枝の地紙形に翳蔽える葉の裏に、葦簀を掛けて、掘抜に繞....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
真面目な話に酔もさめたか、愛吉は肩肱を内端にして、見ると寂しそうで哀である。雨は
霽れた、人は湯さめがしたように暑を忘れた、敷居を越して溢れ込んだ前の大溝の雨溜で....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
しょう――ああ一人酔っている。ふらふら孑孑のようだわね……あれから、上へ上へと見
霽の丘になって、段々なぞえに上る処……ちょうどここと同じくらいな高さの処に、」 ....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
くなる。我々は窮屈な思いをしながら、一日中むだ話をして暮した。 次の朝は綺麗に
霽れた。雨に洗われた山の空気は、まことに清浄それ自身であった。Mさんはよろこんで....