霽れる[語句情報] » 霽れる

「霽れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

霽れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の幻嶽をだすように、いくつもの幻景となって現われた。そういう、座興のあとで吹雪が霽れると、今までいた犬が一匹もみえない。 「オヤ、どうした※」と、思っていると彼....
狂乱」より 著者:近松秋江
そんな返事をしていた。 その間に月が変って十月になり、長い間降りつづいた秋霖が霽れると、古都の風物は日に日に色を増して美しく寂びてゆくのが冴かに眼に見えた。そ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の先駆が落ちて来た。此処で夕立をやり過ごすかな、彼は一寸斯く思うたが、こゝに何時霽れるとも知らぬ雨宿りをすべく彼の心はとく四里を隔つる家に急いで居た。彼は一の店....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
気味の悪い。」 降りしきったのが小留をした、春の雪だから、それほどの気色でも、霽れると迅い。西空の根津一帯、藍染川の上あたり、一筋の藍を引いた。池の水はまだ暗....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
その下を往ったり来たりした。ぱらぱらと小雨がおちる。木かげのベンチに腰をおろす。霽れるとまた歩き出す。一ぽん路を下町へおりると南の停車場だった。 お祭りで、片....
変な男」より 著者:豊島与志雄
ることがあって?」と澄子は云った。 「たまに行ってみたから罰が当ったんでしょう。霽れるのを待つつもりだったんですが、少し気分が悪いから帰って来ました。」 足を....
秋の幻」より 著者:豊島与志雄
を顰めて雨の空を見上げながら、ぶらぶら遊んでいた。 けれどいつとなくその長雨が霽れると、小春のいい天気に返った。少しく南に廻った鈍い日脚が、野の上を一面に黄色....
録音集」より 著者:豊島与志雄
を立てこめる時、濃い雨気が流れてしとしとと雨が降る。降るかとみれば、すぐに霽れ、霽れるかとみれば、また降っている。この雨、傘の中にでも、家の中までも、じめじめと....
聖女人像」より 著者:豊島与志雄
だが、その時は然しほっと息がつけた。雷鳴と電光を伴いながら、沛然と降ってからりと霽れるのではなく、じわじわと降った。四五十分後には細雨となった。縁側の先端の軒先....
吹雪のユンクフラウ」より 著者:野上豊一郎
。さっき登山電車に乗り換える時に、駅長に、上の方の天気はどうでしょうと聞いたら、霽れるとは思えない、という返事で、内心少からず不安を感じていたが、不安は失望に変....
雪の宿り」より 著者:神西清
のまま座を立った。風はいつの間にかやんでいる。厠の縁に立って眺めると、雪もやがて霽れるとみえ、中空には仄かな光さえ射している。ああ静かだと貞阿は思う。今しがたま....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
事がロリーの口を通じて一部分語られるのである。前章以来の読者の疑問の霧は幾分かは霽れる。この章の終りのところで初めて登場するマネット嬢の附添いの婦人プロス(ここ....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
けた、が、その上に蔽い掛った紅楓の大木の美しさ。色は面を染めて、影が袖に透る……霽れるどころか、次第に冷い雨脚から、三人を包んで、雫も落さない。そこで小学校の生....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ががんせんから、強え人を頼んで来て、あの野郎を捕めえて置き、お前さまたちの怨みの霽れるようにしますべえから、緩くり宅に居て下せえまし」 といいさして泣沈みまし....
仏法僧鳥」より 著者:斎藤茂吉
霊宝館を訪ねる予定であったが、まだ雨が止まぬので此処に一休するつもりで来て、雨の霽れるのを待たずに此処を出たのである。併し女中さんが二人で私等を霊宝館まで送って....