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青嵐
「青嵐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
青嵐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
ようえん》に蒼々《あおあお》と繁り、道ぞいの流れの向うに裾をひいている山には濃い
青嵐《せいらん》が煙《けぶ》ってみえた。
お島の導かれたのは、ある古い家建《や....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
ててやり 「こっちにあるから、いらっしゃいよ。さあね」 ふと鳴って通った庭樹の
青嵐を振返ってから、柚木のがっしりした腕を把《と》った。 さみだれが煙るように....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
東山、清水《きよみず》からは霞が降って、花には遅いがそれゆえにまた程よく程のよい
青嵐《あおあらし》の嵐山。六波羅跡《ろくはらあと》の崩れ垣の中からは、夜な夜な変....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
路の口から現われ出た時には、十人の捕虜を提げていた。 真昼の太陽が燃えている。
青嵐が吹き靡いている。富士を始め山々は、教団を巡って穏かに聳え、自然には何んの変....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
いと思い出した、ほとんど一日がかりの墓参りであったらしい。 なつかしや未生以前の
青嵐(昭和十年七月、渋柿) 風呂桶から出て胸のあたりを流していたら左の腕に何か....
「縮図」より 著者:徳田秋声
のなかから、手紙を取り出してみると、それは加世子から均平に宛てたもので、富士見の
青嵐荘にてとしてあった。涼しそうな文字で、しばらく山など見たことのない均平の頭脳....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
と、水底に沈んでいる。水の面には、生の動揺といった象が見えている中に、これはまた
青嵐も吹かば吹け、碧瑠璃のさざれ石の間に介まって、黙んまりとした|死の静粛! そ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
見よ、南海に巨人あり、富士山をその裾に、大島を枕にして、斜めにかかる微妙の姿。
青嵐する波の彼方に、荘厳なること仏のごとく、端麗なること美人に似たり。 怪しき....
「投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
なさい、いっしょに隠れ家へ行きましょう、と、なんの気なしに、隠れ家も教えました。
青嵐寺の隣のアトリエと云えば、すぐ、のみこめる筈です。
青嵐寺は有名な寺ですし、隣....
「神経」より 著者:織田作之助
いるし、共産党員は威勢ばかりで懐疑のない声だ。放送演説の名人といわれていた故永田
青嵐ですら、いつ聴いても「私は砕けて喋っていますよ」といった同じ調子が見え透いて....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
ぐ駕籠|後に立った老女|笹尾が、結び草履の足下を小刻みに近寄った。 この途端、
青嵐というには余りに凄かった。魔風と云おうか、悪風と去おうか、突如として黒姫おろ....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
道の入口、利根川の月夜野橋のあたりは、もう若葉が青葉に移る季節を迎え、流れの岸に
青嵐が樹々の重い梢を揺すっていたが、後閑駅から西方八里奥にある法師温泉をめぐる山....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
行した。折りしも三十有余年前の五月半ばの校庭には、葉桜と欅の若葉に、初夏には早い
青嵐が吹いていた。 結果は、諭旨退学である。前貴族院議員本間千代吉、高橋ドリコ....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
の渓に入ってゆく。灰の視界はたちまち一転、満目碧玉《まんもくへきぎょく》のごとく
青嵐颯々《せいらんさっさつ》として生気躍動するを見る。皆は幾度か立ち止まっては深....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
処ともなく舞い連れて行く。視線の向う所は黒部川の上流を取り巻いて、天半に揺曳する
青嵐の中に颯と頭を擡げた、今にも動き出すかと想われる大山岳である。 三ツ岳から....