青海原[語句情報] »
青海原
「青海原〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
青海原の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
川幅は次第に広くなって、浪に漾っている海猫の群れに近づくころには、そこは漂渺たる
青海原が、澄みきった碧空と融け合っていた。 「明朝蟹子持って来るのよ。きっとよ。....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
る蒼空《あおぞら》には、余残《なごり》の色も何時しか消え失《う》せて、今は一面の
青海原、星さえ所斑《ところまだら》に燦《きらめ》き出《い》でて殆《と》んと交睫《....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
十六|灘を突破しながら、「絶海遥かにめぐる赤間関」と来る。そこで眼ざす鯖の群れが
青海原に見えて来ると、一人は艫にまわって潮銹の付いた一挺櫓を押す。一人は手製の爆....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
思って、なおも一心になって跟いて行くうちに夜になると鯨の新夫婦が浪の上で寝ます。
青海原の星天井で山のような浪また浪の中ですけに宜うがすなあ……四海浪、静かにてエ....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
である、林が一と先ず切れると、梓川の本流がうす暗い緑色になって、浅く流れている、
青海原の強い潮流が一筋、急き込んで、古代ながらの大木の、森々とした海峡を押し切っ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろうと思われるが、この船の上では、陸地はいずれの眼界にも見られない。見渡す限りの
青海原《あおうなばら》で、他の船の帆の影さえ一つも見えない。見えるものは、空と、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
な朝の日光にひたりながら、僕の部屋の腐ったような臭いとはまるで違った、薫りの高い
青海原のそよ風を胸いっぱいに吸った。僕は知らず識らずのうちに船尾の船医の部屋の方....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
、その色の美しさと香気とを愛したものであろう。任日上人の句に「蓼酢《たです》とも
青海原をみるめかな」とあるのは、自分の考えでは、
青海原を蓼醋とみなしてそれに云い....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
は、大理石の館へ集った。そして今そこで眠っている。(笑う)笑は罌粟の畑をすぎて、
青海原へ沈み行くのに、何も知らぬ領主の君。(間)さても白いお前の肌(と女をしげし....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
て行き過ぐることなく、
ウリッセスが留まりし時、
くさ/″\の事を我等に語りぬ。
青海原のほとりへ、
われ等の住む野へ来まさば、
そを皆おん身に語るべきに。
....
「不死の薬」より 著者:小川未明
あります。そのほかはなにひとつ目に止まるものもなく、どこを見ても、ただ茫々とした
青海原でありました。あるときは風のために思わぬ方向へ船が吹き流され、あるときは波....