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「青白い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

青白いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
は御考えにならないの。」 「それよりも先に、自分の事を考えるんです。」 辰子の青白い頬には、あるかない微笑の影がさした。 「薄情な方ね。」 「薄情かも知れませ....
早春」より 著者:芥川竜之介
いる。そこへ、――時間はいくらもたたない。やっと三時十五分くらいだね、そこへ顔の青白い女学生が一人《ひとり》はいって来る。勿論《もちろん》看守も誰もいない。女学....
或る女」より 著者:有島武郎
て葉子を見つめていた。やせぎすで、痛々しいほど目の大きな、そのくせ黒目の小さな、青白い顔が、薄暗い店の奥から、香料や石鹸《せっけん》の香につつまれて、ぼんやり浮....
或る女」より 著者:有島武郎
催して来た貞世は、泣いたあとの渋い目を手の甲でこすりながら、不思議そうに興奮した青白い姉の顔を見やっていた。愛子は瓦斯《がす》の灯《ひ》に顔をそむけながらしくし....
二つの道」より 著者:有島武郎
道をのみ追うて走る人でも、思い設けざるこの時かの時、眉目《びもく》の涼しい、額の青白い、夜のごとき喪服を着たデンマークの公子と面を会わせて、空恐ろしいなつかしさ....
星座」より 著者:有島武郎
が十四の時に亡くなった父のことだった。細面で痩《や》せぎすな彼女の父は、いつでも青白い不精髯《ぶしょうひげ》を生やした、そしてじっと柔和な眼をすえて物を見やって....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
なく時雨のような霰が降って来て海面を泡立たす。船と船とは、見る見る薄い糊のような青白い膜に隔てられる。君の周囲には小さな白い粒がかわき切った音を立てて、あわただ....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
膝をやや浮かした、褄を友染がほんのり溢れる。露の垂りそうな円髷に、桔梗色の手絡が青白い。浅葱の長襦袢の裏が媚かしく搦んだ白い手で、刷毛を優しく使いながら、姿見を....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
彼はあたかも砂金を捧ぐるが如く、これは月光を仰ぐようであった。 架の裏に、色の青白い、痩せた墨染の若い出家が一人いたのである。 私の一礼に答えて、 「ご緩り....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
絵になったのは、全国ここばかりであろうも知れない。 この日当りで暖かそうなが、青白い建ものの、門の前は、枯葉半ば、色づいた桜の木が七八株、一列に植えたのを境に....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
影が、幻影が。 真綿をスイと繰ったほどに判然と見えるのに、薄紅の蝶、浅葱の蝶、青白い蝶、黄色な蝶、金糸銀糸や消え際の草葉螟蛉、金亀虫、蠅の、蒼蠅、赤蠅。 羽....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
る夜などは、ままよ宿鳥なりと、占めようと、右の猟夫が夜中|真暗な森を※ううちに、青白い光りものが、目一つの山の神のように動いて来るのに出撞した。けだし光は旦那方....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
かさに、渚の浪は白菊の花を敷流す……この友禅をうちかけて、雪国の町は薄霧を透して青白い。その袖と思う一端に、周囲三里ときく湖は、昼の月の、半円なるかと視められる....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
で声をかけると、女中も待たず、夕顔のほんのり咲いた、肌をそのままかと思う浴衣が、青白い立姿で、蘆戸の蔭へ透いて映ると、すぐ敷居際に――ここに今見ると同じ、支膝の....
母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
そうな様子を見て言葉もかけませんでした。 夜になるとマルコは甲板で眠りました。青白い月の光りが広々とした水の上や遠い岸を銀色に照しました、マルコの心はしんとお....