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「青簾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

青簾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旧主人」より 著者:島崎藤村
の水も赤く濁り、台所の雨も寂しく、味噌も黴《か》びました。祗園《ぎおん》の祭には青簾《あおすだれ》を懸けては下《はず》し、土用の丑《うし》の鰻《うなぎ》も盆の勘....
芽生」より 著者:島崎藤村
ら寂しい蛙の鳴声が夢のように聞えて来る。祗園の祭も近づいた、と私は思った。軒並に青簾《あおすだれ》を掛け連ねた小諸本町の通りが私の眼前《めのまえ》にあるような気....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
合の家について夏の日のあたった道を上った。そこを上りきったところまで行くと軒毎に青簾を掛けた本町の角へ出る。この簾は七月の祭に殊に適わしい。 祭を見に来た人達....
田舎教師」より 著者:田山花袋
などそこを通ると、垣に目の覚めるようなあかい薔薇が咲いていることもあれば、新しい青簾が縁側にかけてあって、風鈴が涼しげに鳴っていることもある。秋の霧の深い朝には....
」より 著者:徳田秋声
って来る、顔の赤いいなせな頭などが突っかけ下駄で通って行くのが、窓の格子にかけた青簾越しに見えた。 婆さんを紹介されると、笹村は、「どうぞよろしく。」と叮寧に....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
木やり唄 浅草趣味 八百善料理 風鈴と釣忍 井戸がえ 箱庭と灯籠 定斎と小使銭青簾 夏祭り 心太と白玉 川開き 草市と盂蘭盆 灯籠流し 蒲焼と蜆汁 丑べに 朝....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
川波、渺々たるに、網の大きく水脚を引いたような、斜向うの岸に、月村のそれらしい、青簾のかかった、中二階――隣に桟橋を張出した料理店か待合の庭の植込が深いから、西....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
った。 その蒼沼は…… 小高い丘に、谷から築き上げた位置になって、対岸へ山の青簾、青葉若葉の緑の中に、この細路を通した処に、冷い風が面を打って、爪先寒う湛え....
女流俳句を味読す」より 著者:杉田久女
気品の高い鷹揚な鶴の姿も、春水の感じとよく調和して、おおらかな老巧な句風である。青簾くらきをこのみ住ひけり 多佳女 大阪も住吉あたりの、青簾をかけわたしたほ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
る。 袴無しの着流しで、蝋塗りの細身の大小を差し、白扇を胸の辺りでパチツカせ、青簾に釣忍、そんなものが軒にチラチラ見える町通りを歩いて行った。 浅草観世音へ....
茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
がたに坐って合掌しました。座敷はしんと静まり返りました。 夕風が立って来たか、青簾はゆらゆら揺れます。打水した庭にくろずんだ鞍馬石が配置よく置き据えられ、それ....
艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
亭船遊を名のって、風流写し絵の妙手。明治初年の夏の夜には両国橋畔に船を浮かべて、青簾《あおすだれ》のうちも床しい屋根船のお客へ、極彩色の雲雨巫山の写し絵を見せた....
我が円朝研究」より 著者:正岡容
る。また演者の生活や好みの一断片がチラと不用意に覗かれる、夏の夕風にひるがえった青簾の中の浴衣姿の佳人のごとく。そこを何より買いたいのである。 こうした速記の....
銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
入れるさま、画に描ばやと思う図なり。あなたの二階の硝子窓おのずから明るくなれば、青簾の波紋うつ朝風に虫籠ゆらぎて、思い出したるように啼出す蟋蟀の一声、いずれも凉....
夏の町」より 著者:永井荷風
の夕《ゆうべ》だと自分は信じている。 虫籠、絵団扇《えうちわ》、蚊帳《かや》、青簾《あおすだれ》、風鈴《ふうりん》、葭簀《よしず》、燈籠、盆景《ぼんけい》のよ....