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「青麦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

青麦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
ゅうにかい》を下りる。 十七 小野と浅井は橋まで来た。来た路は青麦の中から出る。行く路は青麦のなかに入る。一筋を前後に余して、深い谷の底を鉄軌....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
落ちる谷川は到るところにあった。何度歩いても飽きない道を通って、赤坂裏へ出ると、青麦の畠が彼の眼に展《ひら》けた。五度《いつたび》熟した麦の穂は復た白く光った。....
旧主人」より 著者:島崎藤村
も思われて、蒲公英《たんぽぽ》が黄な花を持ち、地梨が紅く咲いた草土手を枕にして、青麦を渡る風に髪を嬲《なぶ》らせながら、空を通る浅間の鷹《たか》を眺めて寝そべっ....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
が多いから。それに、小諸からその村へ通う畠の間の平かな道も好きだ。 私は盛んな青麦の香を嗅ぎながら出掛けて行った。右にも左にも麦畠がある。風が来ると、緑の波の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
墓の向うの所謂賭博の宿の麦であった。彼は其一部を買って、邪魔になる部分はドシ/\青麦をぬいてしまい、果物好きだけに何よりも先ず水蜜桃を植えた。通りかゝりの百姓衆....
魚の序文」より 著者:林芙美子
締りをして戸外へ出ると、二人は云いあわしたように胸を拡《ひろ》げて息をしながら、青麦のそろった畑道《はたみち》を歩いた。秋になると、この道は落葉で判らなくなる道....
春昼」より 著者:泉鏡花
一杯の日当り、桃の花に影がさしたその色に対して、打向うその方の屋根の甍は、白昼|青麦を※る空に高い。 「あの家のかね。」 「その二階のさ。」 「いんえ、違います....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
るから。 ――青雲社、三大画伯、御写真―― よって釈然とした。紋の丸は、色も青麦である。小鳥は、雲雀である。 幅広と胸に掛けた青白の糸は、すなわち、青天と....
染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
を盗まれた。戸外から入り込んだ形跡はない。二人の下女が疑わしかった。そこで岡八、青麦を二本、二人の下女へやったものである。 「正直者の麦はそのままだが、不正直者....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
なる、久能谷のこの出口は、あたかも、ものの撞木の形。前は一面の麦畠。 正面に、青麦に対した時、散策子の面はあたかも酔えるが如きものであった。 南無三宝声がか....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
、淡いのが草まじりに、はらはらと数に乱れる。 馬の沓形の畠やや中窪なのが一面、青麦に菜を添え、紫雲英を畔に敷いている。……真向うは、この辺一帯に赤土山の兀げた....
山吹」より 著者:泉鏡花
だ、ああ恐怖え。 ――廻る―― 場面。――一方やや高き丘、花菜の畑と、二三尺なる青麦畠と相連る。丘のへりに山吹の花咲揃えり。下は一面、山懐に深く崩れ込みたる窪地....
奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
兵を京都に擁してその糧食の供給に苦しみ、所在掠奪をほしいままにして、はては農民の青麦を刈りて馬糧に供するに至ったので、たちまちにして上下の怨府となった。法皇は頼....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
でもこの辺一帯の天然の風景は、欧州の中で珍しい平和なのんびりしたものです。一面の青麦の畑は見渡す限りうち続き、澄み切った碧の空に風車がゆるゆる廻っています。その....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
同じ趣旨である。私の在所はそれから十四五里も離れた処であるが、シービビというのは青麦の茎を折って、吹きならす笛であった。子供によっては麦の黒穂のことを、シービビ....