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静物
「静物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
静物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢」より 著者:芥川竜之介
「いいえ、お友だちと二人で借りているんです。」
わたしはこんな話をしながら、
静物《せいぶつ》を描《か》いた古カンヴァスの上へ徐《おもむ》ろに色を加えて行った....
「新生」より 著者:島崎藤村
胸の血潮を湧《わ》き立たせるようにした幾多の愛読書が、さながら欠《あく》びをする
静物のように、一ぱいに塵埃《ほこり》の溜った書棚《しょだな》の中に並んでいた。そ....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
々しい油画だった。従って林檎はこの時以来、彼には昔の「智慧の果」の外にも近代の「
静物」に変り出した。 ファウストは敬虔の念のためか、一度も林檎を食ったことはな....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
を調え合って、ここもすでに春だった。客席には喧しい話声は一筋もなく、室全体として
静物の絵のしとやかさを保っていた。ときどき店の奥のスタンドで、玻璃盞にソーダのフ....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
と、焼岳がそっくり見える、朝早く起きたときには、活火山というよりも、水瓜か何ぞの
静物を観るように、冷たそうな水色の空に包まれて、ひっそりとしている、山の頂は、兜....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
里の道を往復するという仕事は私にとっては先ず絶望の事に属するのである、従って私は
静物と人物を主として描きたがる、これはモティフが向うから私の画室へ毎朝訪れてくれ....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
と注意した。なるほどわれわれはうっかりしていた。 われわれはアトリエにあって、
静物のトマトや、器物と同等において裸女を描き、毎日の如く仕事をし、馴れ切っている....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
る。 即ち自然は如何に成立っているものか、地上にあるあらゆる空間、風景、動物、
静物はどんな約束で構成されているのか、世界にはどんな調子があり、リズムがあるか、....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
金儲けなどする人物とも見えず、その上相手の判官は大阪の福助というもの静かなむしろ
静物に近い性格者であった。好漢師直でありしかも判官は腹立てず、しかしながら筋書き....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
った。Sの妹が、龍介が来たら、画を見て帰ってくれと兄に頼まれたと言った。そして、
静物を描いた十二号大のカンバスを持ってきた。Sのお母さんが隣りの室から電燈を引張....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
り花なりの色彩形襞陰影等、事物の真に感興をもって、繊細如実に描出するのが前期時代
静物写生である。 いたゞきにぼやけし実やな枯芙蓉 みさ子 大輪のあと莟なし冬....
「大阪の可能性」より 著者:織田作之助
ンからだと言われているが、デッサンとは自然や町の風景や人間の姿態や、動物や昆虫や
静物を写生することだと思っているらしく、人間の会話を写生する勉強をする人はすくな....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
奴は苦しんだ。そしてその苦しみと無限の淋しみとを、幾枚もの画に描き上げた。風景や
静物にもすばらしいのはあるが、その女の肖像画にいたっては神品だというよりほかに言....
「素晴しい記念品」より 著者:大倉燁子
、友達もなく、淋しい孤独生活であった。彼の唯一の趣味は絵を描くことである。最初は
静物を、後には人物、ことに若い女ばかりを描くようになった、が、不思議なことに彼に....
「料理する心」より 著者:北大路魯山人
趣味を持っておられる方ならば、打ってつけの興味ある仕事であります。果物を鉢に盛る
静物画と同工異曲であります。 次にお料理は即刻即用が大切であります。つまり出来....