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「静観〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

静観の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ねはん》を平等相の原理とする仏教の世界観、悪縁にむかって諦めを説き、運命に対して静観を教える宗教的人生観が背景をなして、「いき」のうちのこの契機を強調しかつ純化....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
あまりいくらか茶道の思想を受け入れた。たぶん今日においてもこの「不完全」を真摯に静観してこそ、東西相会して互いに慰めることができるであろう。 道教徒はいう、「....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、彼は立ち止って窓を明け、外気の中へ大きく呼吸を吐いた。それは、非常に深みのある静観だった。空のどこかに月があると見えて、薄っすらした光が、展望塔や城壁や、それ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
あったものでない、この老いの細い骨は木っ葉微塵、と震え上って分別し直し、しばらく静観と自重していたのだが、このごろは角力に凝って他人様を怪我させて片輪にして、に....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
ち恋の風雅であり、風雅の一相としての恋愛であり性欲である。恋の中に浸りながら恋を静観しうる心の余裕があるものでなければ俳諧の恋の句を作る事はできない。実際芭蕉は....
地球要塞」より 著者:海野十三
であった。 行こう、X大使とともに。そして、しばらくX大使の魔術ではない魔術を静観しよう。 「では、X大使。私を、米連艦隊の旗艦へつれていって呉れたまえ」 「....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
であるとさえ教わったものである。静かに静かにというのが大体の方針であったらしい。静観するという言葉がある。 もしも、西洋というものが目の前へ現れなかったら、日....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
いうのが其を証しているが、独居沈思の態度は既に支那の詩のおもかげでもあり、仏教的静観の趣でもある。これも家持の到り着いた一つの歌境であった。 前言にもいった天....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
落ち着いていられる。民族共同体の運命に本能的な安危を感じない国際主義者は冷やかに静観してすまされる。共存同悲の大衆へのあわれみが肉体的な交感にまで現実化していな....
次郎物語」より 著者:下村湖人
つくなって来るのを覚えた。 かれの眼には、その雀が孤独の象徴のようにも、運命の静観者のようにも映った。夜明けの静寂をやぶるのをおそれるかのように、おりおり用心....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
件に減って居り、要望の効果だけはあった様で、四月の公安委大会には議題とならず一応静観の姿である。 宝くじ、競馬、競輪の様な公認賭博的なものに就ては公安委員とし....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
違いない。而しそれは決して手当り次第の栄養摂取によっては果されない。十分な自覚と静観とを以て我々の進むべき筋道を心得た上での事でなければならない。私はそういう事....
ミケランジェロの彫刻写真に題す」より 著者:高村光太郎
しい動揺の中に居る。かかる世紀にあるわれわれ東瀛の民族が又改めてミケランジェロを静観することは意味深い。此の近世初頭に於ける人類の造型的権化をわれわれ東方の新ら....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
な織物に、古人も魅惑を感じたらしいが、今もってこうした幻影はそのころの人たちを、静観的な自然観照家であり、自然をながめつつ夢想に耽る人たちとして思い描かせる。と....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
なったら止まるものか、そうした気配の微塵でも見えぬ根気よさには、いかな辛抱づよい静観者の私とてもひた呆れに呆れて、ただもうおとなしく引き退るよりほかはなかった。....