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静謐
「静謐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
静謐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
意なく、富士の高嶺を見上げた。その姿は、いま眼のまえに横っている小雄鹿の死と同じ
静謐さをもって、聳えて揺り据っている。今日も鳥が渡っている。 男はそのかみ、神....
「天馬」より 著者:金史良
て。だがまあ宜しいと僕は思う所あって云ったのです。ボードレールも詩の言葉で、おー
静謐《せいひつ》よ
静謐よと憬れました」 けれどそう結びつつ口元に笑いを浮べた彼....
「死者の書」より 著者:折口信夫
なって行った。独り言する其声は、彼の人の耳にばかり聞えて居るのであろう。丑刻に、
静謐の頂上に達した現し世は、其が過ぎると共に、俄かに物音が起る。月の、空を行く音....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
店やらが大分できて居る……。が、それは地上の人間界のことで、こちらの世界は至って
静謐なものじゃ。俺一人でそなたをあのお宮へ案内すればそれで事が済むので……。まァ....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
政治の曲を責め、教学の邪を討って、権力と抗争した。 人はあるいは彼はたましいの
静謐なき荒々しき狂僧となすかも知れない。しかし彼のやさしき、美しき、礼ある心情は....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
りではない。恋の灼熱が通って、徳の調和に――さらに湖のような英知と、青空のような
静謐とに向かって行くことは最も望ましい恋の上昇である。幾ら上って行ってもそのひろ....
「秀吉・家康二英雄の対南洋外交」より 著者:国枝史郎
しますがこれは貴国にとっても便利のことと思います。 尚、日本の現在は、国の内外
静謐であって寇賊の心配なければ安心して船舶を通ぜられよ」と云い送った。そこで呂宋....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
者どもの迷惑ばかりでなく、第一に本人自身の命がたまるまい。殊にこの頃の都は一時の
静謐を保っているようなものの、世はほんとうの太平に立ちかえった訳ではない。新田義....
「武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
真の蝦夷を指す場合また少からざるなり。金沢『称名寺文書』に、 当寺祈祷事、蝦夷已
静謐之間、法験之至、殊感悦候、謹言 文保二年五月二十一日 高時(花押) ....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
に、義経誅戮のこと法皇のことに悦び聞こしめすところで、義経滅亡のうえは国中定めて
静謐なるべく、もはや弓箭を袋にすべきものなることの御沙汰があったのである。これま....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
するを禁じ、宗教書類を除くのほか、当日読書することを禁ず。ゆえに、英国にて日曜の
静謐なるときは、これをよんでスコットランド日曜のごとしという。 人あり、スコッ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
の水をひき入れた庭園に、恍惚としてながめ入る姿を描くのである。一日のあらゆる心の
静謐を希って、『古今集』『源氏物語』へのおだやかな共感を、桜花や月光の織りなす情....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
るく、板と板との継ぎ目の塵埃屑のにじみさえが光り耀いていた。午後四時過ぎの涼しい
静謐が其処にはあった。帆綱や欄干やケビンの何かの影も映っていた。 それは一時間....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
ては「御坊」である。彼らは葬儀・警察等の事務を行い、村落・都邑に付属して、管内の
静謐をはかり、特に檀家、すなわち受持ちの家を定めていること等、一つに前述のシュク....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
般民衆のもっとも信頼すべき警察吏でありました。彼らは部下を率いて、その縄張り内の
静謐維持の任に当たる。もちろんこれに対しては、その縄張り内の住民から、分限相当に....