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非人情
「非人情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
非人情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
そんなことが彼の不愉快をだんだんと洗っていった。いつもの癖で、不愉快な場面を
非人情に見る、――そうすると反対におもしろく見えて来る――その気持がものになりか....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
彼女の姿態に針一|突きの間違いもなく手間の極致を尽して彫り出した象牙細工のような
非人情的な完成が見られた。人間の死体のみが持つ虚静の美をこの娘は生ける肉体に備え....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
た。 「その女性は、あなたほど美しくはないけれども、……」と書いて、「あなたほど
非人情ではありません」とは書きかね、復一は苦笑した。 だんだん刺戟を強くして行....
「食魔」より 著者:岡本かの子
力、防避を申合せてるようであった。こうしてから自分等に家を貸し与えた持主の蛍雪の
非人情をまざまざ見せつけられるようで、逸子には憎々しかった。 彼女は復讐の小気....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
の夫は留守勝ちであった。彼は青年期の有り余る覇気をもちあぐみ、元来の弱気を無理な
非人情で押して、自暴自棄のニヒリストになり果てていた。かの女もむす子も貧しくて、....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
けた。そうして部屋の中を見廻わした。 「こういう所にも住む人がある。静寂、暗黒、
非人情! だがこれもいいかもしれない。恐らく悩みはないだろう」うっとりと仮面へ眼....
「呉清源」より 著者:坂口安吾
限軌道の無限に進むが如き執念の迫力が全てなのである。彼の勝負にこもる非人間性と、
非人情の執念に、日本の鬼どもが、みんな自滅してしまうのである。 この対局のあと....
「心霊殺人事件」より 著者:坂口安吾
だか。勝美の言葉は落ちつきがあって物静かではあるが、語られている内容は甚だ異常で
非人情なものではないか。その心を人の形に現せば一寸法師の客ひき番頭のような姿に化....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
ながら見る幽かな境地である。主観排除せられて、虚心坦懐の気分にぽっかり浮き出た「
非人情」なのではなかろうか。漱石の
非人情論は、主旨はよくて説明のあくどい為に、論....
「ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
には幽霊などという合理的性質の化けものよりはむしろ、怪物は怪物らしいこの出鱈目で
非人情な妖怪の方がなんとなく幾分でも存在性が強いと思う。 尤も幽霊に出られては....
「独逸の範とすべき点」より 著者:国枝史郎
ている。 スピードが速い、連絡を超越した飛躍がある。曲線的でなく直線的であり、
非人情的であると思われるほど機械的である。介在物を混えずに一本の思想をひたむきに....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
ず、あるいは千年後かもしれない。要するに「時は問題でない」のだ。もともと進化説は
非人情の哲学にすぎない。だとすれば、何かを信ずるとすれば、さしずめそれでも信じる....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
小生見舞に参り候えどもまだ一度も語を交せたる事なし。「草枕」の作者の児だけありて
非人情極まったもの也。すると今度は妻のおやじが腎臓炎から脳を冒かされたとか何とか....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
処置が取れないとは、まだ生なところがある。誘惑に負けまいと一生懸命、肩肘張って、
非人情に噛りついていなければならないとは、まだどこか心に弱いところがある。そこを....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
どうにも好きでない。ラジオを聴くといらいらして来る。ああ、化物じみた、非音楽的の
非人情の音響で、神経を刺戟されてはとても坐っているに堪えられないのだ。一つには私....