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「非常口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

非常口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宝石の序曲」より 著者:松本泰
ーブルなどを積み重ね、片側をわずかに人が通れるだけ開けてある。そこは階下に通ずる非常口で、めったに使うことはなかった。 梯子段に近い明かり取り窓の下に、黒天鵞....
蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
は劇場や百貨店などの火事の場合である。その場合に前述の甲型の人間が多いと、階段や非常口が一時に押し寄せる人波のために閉塞して、大量的殺人現象が発生するのである。....
」より 著者:池谷信三郎
上電話がけたたましく鳴った。 ――火事です。三階から火が出たのです。早く、早く、非常口へ! 廊下には、開けられた無数の部屋の中から、けたたましい電鈴の音。続い....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
うかと立起りて、一歩を進め、二歩を行き、椽側に出で、庭に下り、開け忘れたりし裏の非常口よりふらふらと立出でて、いずこともなく歩み去りぬ。 かくて幾分時のその間....
変災序記」より 著者:田中貢太郎
根をめりこましていた。煉瓦塀は砕けて路次の行詰を埋めていた。私はいきなり向う隣の非常口の木戸の戸を開けた。 「有馬さん、有馬さん、大丈夫ですか」 と、間をおい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
こで、また眼をこすって、いきなり立戻って今度は、裏口の、つまり、その家からいえば非常口といった方面です、そこに一間間《いっけんま》だけの戸があって、心張棒《しん....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
というより殆《ほとん》ど塀《へい》と奥蔵《おくぐら》のつづき、ところどころ各家の非常口の、小さい出入口がある。女たちがそっと外出《そとで》をする時とか、内密《な....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ります。」 とそれから図解で救命帯の着用方を詳説し、なお、 「キャビンの天井に非常口があります。いざという時は下がっている輪を強く引き、出口を破り開けて下さい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
とり残って、歩兵を相手に取ると頑張るものはありません。すすめられるままに、裏手や非常口から避難してしまいました。宇津木兵馬も無論その一人です。 「金助」 非常....
非情の愛」より 著者:豊島与志雄
行くには、廊下からの通路が板戸で閉鎖されているので、階下へおりて、料理場裏の狭い非常口を通らなければならなかった。 魚住千枝子が先にたち、秦啓源があとに随い、....
天井裏の妖婆」より 著者:田中貢太郎
そして、目的の病院へ著いたが、玄関の扉が締っているので、しかたなく死体を出入する非常口から入った。 それから二三日してのことであった。夜半|比、何かのひょうし....
日記」より 著者:宮本百合子
余りあついので、又地震にでもなるのではないかと活動写真館でひどく不安を感じ、非常口の場所を見た。万一のことがあったら祖母上をつれ出すに危険とまで思う。これ丈....
京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
裏筋に面した側には、小屋の出入口が二つあるのでございまして、ひとつはお客さま用の非常口――しかし、これは、いつも、かたく閉されております。も一つの方が、楽屋への....
日蔭の街」より 著者:松本泰
勢の人々が凝《かたま》り合って喧しく盗難事件の噂をしていた。一時閉場された会場の非常口から入ってゆくと、係員達が空間になった壁の前に立って、善後策を評議中であっ....
雪柳」より 著者:泉鏡花
業の家だった。目の下が、軒並の棟を貫いて、この家の三階へ、切立てのように掛けた、非常口の木の階段だったのが分りました。いずれ、客の好奇心を嗾ろうといった誂えと見....