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非情
「非情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
非情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
ーだ。この女を撮ろう」 と、たちまちカメラのレンズに化してしまったが、しかし、
非情のレンズにしては、何か熱っぽく燃えて、夜光虫のように光った。 木崎は自分の....
「富士」より 著者:岡本かの子
つに、われを忘れてゆららに身体を弾ませていることがある。いずれにしろ稚純な心には
非情有情の界を越え、彼《ひ》と此《し》の区別を無《な》みする単直なものが残ってい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。その闘いは金谷宿佗住居の段で、兵助が返り討ちに逢うところであるらしくみえた。
非情の人形にも仇同士の魂がおのずと籠ったのであろうか。余りの不思議に気を奪われな....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
き着くことが出来たとしても、その時お前は既に人間ではなくなって、一個の専門家即ち
非情の機械になっているからだ。お前自身の面影は段々淡くなって、その淡くなったとこ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
で、烏金搨といったところで再び生物の上には戻って来ぬ過去そのものを色にしたような
非情な黒に過ぎない。その黒へもって行って寒白い空閑を抜いて浮出す拓本の字劃という....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
ておりますると、お答え申し上げましたれば、おまえ様はなんと仰せられました。 頼家
非情の木にも女夫はある。人にも女夫はありそうな……と、つい戯れに申したのう。 か....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
人、一匹の獣、一尾の魚、一本の木、一茎の草、一個の虫……これらの物を足場とする。
非情の如くに思われる山や川や石や土や日月|星辰風雨霜雪といえども、実は皆生命を持....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
というのである。 「幸くあれど」は、平安無事で何の変はないけれどということだが、
非情の辛崎をば、幾らか人間的に云ったものである。「船待ちかねつ」は、幾ら待ってい....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
がしるしてあった。それを翻訳すると、こうである。 ――この壁に近づく者は、有情と
非情と、生けると死せるとを問わず、この針の動くが如くにわが意思は働く。この家に呪....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
の方に強味があるわけですが、困ったことには片足が短い、まあこういう場合にはそれが
非情な弱味になります。また、染吉は冬坡よりも二つ年上であるというのが第一の弱味で....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
あてはまる。たしかに、むごすぎる。 さすがの小沢も、 「おれは今血も涙もない、
非情の石ころになっているのかも知れないぞ」 と、もはや豹吉の顔を正視するにしの....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
岩と土とからなる
非情の山に、憎いとか可愛いとかいう人間の情をかけるのは、いささか変であるが、私は....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
って、それを案山子の事だと解しているが、仮りにこの解を正しとして、童話的に動物や
非情の物品が物言う筋の語り言として見ても、案山子の友は雨蛙などならばこそあれ、そ....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
に恨まれると、その恨まれた人はたちまち病気になる。のみならず、その霊妙な力はよく
非情の上にも働いて、もし牛蒡種の人が他の農作物の出来の善いのを羨ましく思うと、そ....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
る間に、気がつくといつもなしにその男の髪が白くなり、顔にはしわが深く寄せている。
非情の鏡と雖も恐らくは感慨の深いものがあるであろう。私はそれを思う毎に、いつもそ....