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靠
「靠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
靠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
出した。
「おい。敏子《としこ》。」
半ば体を起した男は、畳に片肘《かたひじ》
靠《もた》せたまま、当惑《とうわく》らしい眼つきを見せた。
「お前は己《おれ》と....
「春」より 著者:芥川竜之介
享楽したい心もちもした。かたがた広子は安楽椅子の背に西洋髪《せいようがみ》の頭を
靠《もた》せたまま、全然当面の問題とは縁のない詠嘆の言葉を落した。
「何だか昔に....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
一つ僕たちの前で使って見せてくれないか。」
「好いとも。」
私は椅子の背に頭を
靠《もた》せたまま、さも魔術の名人らしく、横柄《おうへい》にこう答えました。
「....
「路上」より 著者:芥川竜之介
草《エジプトたばこ》へ火をつけた。それから始めてのびのびと椅子《いす》の背に頭を
靠《もた》せながら、
「君はもう卒業論文へとりかかったのか。」と、全く別な方面へ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
わりには、一層好人物じみた気色《けしき》があった。少将は椅子《いす》の背《せ》に
靠《もた》れたまま、ゆっくり周囲を眺め廻した。それから、――急にため息を洩らした....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
く流れて、向山《むこうやま》の松風静かに度《わた》る処《ところ》、天神橋の欄干に
靠《もた》れて、うとうとと交睫《まどろ》む漢子《おのこ》あり。 渠《かれ》は山....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
かしい両腕で涙を拭いた。小初は砂金のように濃かく汗の玉の吹き出た薫の上半身へ頭を
靠れ薫の手をとった。不憫で、そして、いま「男だ」と云ったばかりの薫の声が遠い昔か....
「河明り」より 著者:岡本かの子
したとき」といって言葉を切り、そしていい継いだ。「酔った振りして、木ノさんの膝に
靠れかかってやりました。いろ気は微塵もありません。お嬢さんにゃあ済まないけど、お....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
て、前に跪きたれば、女房すこしも不辞、便のう、いかにかと云いながら、やがて後にぞ
靠りける、南無妙。 白玉か何ぞと問いし古えも、かくやと思知れつつ、嵐のつてに散....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
を見せながら、竿の糸でシャンパンの壜を釣ろうと競って居る。一軒の屋台では女を肩に
靠せながら男が白い紙を貼った額を覗っている。鉄砲が鳴って女がぴくっとする刹那に額....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
従来不朽の筆は不朽の人を伝えるもので、人は文に依って伝えらる。つまり誰某は誰某に
靠って伝えられるのであるから、次第にハッキリしなくなってくる。そうして阿Qを伝え....
「薬」より 著者:井上紅梅
わっていたのだ。彼はちょっとあと戻りしてある店の軒下に入った。閉め切ってある門に
靠れて立っていると、身体が少しひやりとした。 「ふん、親爺」 「元気だね……」 ....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
人達は正午の休みや夕方の手終いにいちいち四文銭を出しては茶碗酒を一杯買い、櫃台に
靠れて熱燗の立飲みをする。――これは二十年前のことで、今では値段が上って一碗十文....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
何であろう。私は一切がくだらなくなって、読みかけた夕刊を抛り出すと、又窓枠に頭を
靠せながら、死んだように眼をつぶって、うつらうつらし始めた。 それから幾分か過....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
の方で頻りにどよめく笑声を聞いた。声を尋ねて目をやると、大勢の人が三太太の裏窓に
靠《もた》れて、庭内を跳ね廻る一匹の小兎を見ていた。それは彼の父母が買われて来た....