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「靡き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

靡きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
んなものは、」 と※と火を摺ると、ひらひらと燃え上って、蒼くなって消えた。が、靡きかかる煙の中に、夫人の顔がちらちらと動いて、何となく、誘われて膝も揺ら揺ら。....
海異記」より 著者:泉鏡花
お芋で可いや。 よッしょい、と鰹さ積んで波に乗込んで戻って来ると、……浜に煙が靡きます、あれは何ぞと問うたれば」 と、いたいけに手をたたき、 「石々合わせて....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
と、嵐が次き出した。暁に吹く嵐であった。忽ち木々がざわめき出し、そうして雑草が靡き出した。 新葉を芽まない雑木林は、その枝を空へ帚木のように延ばし、それを左....
薬草取」より 著者:泉鏡花
切に、刃形が上下に動くと共に、丈なす茅萱半ばから、凡そ一抱ずつ、さっくと切れて、靡き伏して、隠れた土が歩一歩、飛々に顕れて、五尺三尺一尺ずつ、前途に渠を導くので....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
だ洗いするんですから、油旱の炎熱で、銀粉のようににじむ汗に、ちらちらと紗のように靡きました。これなら干ぼしになったら、すぐ羽にかわって欄間を飛ぶだろうと思ったほ....
死者の書」より 著者:折口信夫
く、目にうつる。 長い渚を歩いて行く。郎女の髪は、左から右から吹く風に、あちらへ靡き、こちらへ乱れする。浪はただ、足もとに寄せている。渚と思うたのは、海の中道で....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
信ばしらかと思うよう、杭がすくすくと針金ばかり。三角形の砂地が向うに、蘆の葉が一靡き、鶴の片翼見るがごとく、小松も斑に似て十本ほど。 暮れ果てず灯は見えぬが、....
星女郎」より 著者:泉鏡花
したことがあって、三造は並木の梢――松の裏を高く仰いで見た。鵲の尾の、しだり尾の靡きはせずや。…… 二 往年、雨上りの朝、ちょうどこの辺を通掛っ....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ったのだ……」 海霧が扉の隙からもくもく入り込んで来て、二人の周囲を烟のように靡きはじめた。が、それを聴くと、法水は突然坐り直したが、すると頭上の霧が、漏斗の....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
平線は画幀の上部を狭く劃って、青灰色の天空が風に流れている。そこには島山の噴煙が靡き、雲が這っている。地理的にいえばこの島山はこの絵を描いた位置からは少しわきに....
山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
いた。舞台を何とも謂えぬ情趣に整えていると共に、梅の花咲き散る頃の優なる季節感が靡きかかっている。 しかも尚、四天王寺には、古くは、日想観往生と謂われる風習があ....
書記官」より 著者:川上眉山
ところなく、尾上に残る高嶺の雪はわけて鮮やかに、堆藍前にあり、凝黛後にあり、打ち靡きたる尾花野菊|女郎花の間を行けば、石はようやく繁く松はいよいよ風情よく、※耀....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
たもののように果敢なく植わっている。土手は一面の蘆で、折しも風立って来たから颯と靡き、颯と靡き、颯と靡く反対の方へ漕いで漕いで進んだが、白珊瑚の枝に似た貝殻だら....
清心庵」より 著者:泉鏡花
。夕日の余波あるあたり、薄紫の雲も見ゆ。そよとばかり風立つままに、むら薄の穂|打靡きて、肩のあたりに秋ぞ染むなる。さきには汗出でて咽喉渇くに、爺にもとめて山の井....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
る。眼が光る。腹が光る。口が暗い、尻尾が暗い。 昆布がある。烏賊がいる。荒布が靡き、大きな朱色の蟹が匍い、貝が光る。 暗い、青い、赤い。 凡ては本斗の海産....