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面差
「面差〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面差の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
する人、私は大嫌い、人品《じんぴん》が下りますよ」
お島はどうかすると、父親の
面差《おもざし》の、どこかに想像できるような小野田の或卑しげな表情を、強《し》い....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
輝く目に何か不安定な感じを与えもして、奈良で産まれたせいでもあるか、のんびりした
面差しであった。美貌の矜りというものもまだ失われないで、花々しいことがいくらも前....
「明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
や》極めてうるわしく、額広く、愁《うれい》の影などは露ほどもなく、輝きわたりたる
面差《おもざし》晴々として、眼瞼《まぶた》重げに、眦《まなじり》長く、ふくよかな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が合いました。いずれも覆面はしておりません。微《かす》かながら提灯の光は、二人の
面差《おもざし》を映し出すに充分でありました。 「おお、其許様《そこもとさま》は....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
んの役で、可憐《かれん》な、本当に素《す》の貞奴の、廿代《はたちだい》を思わせる
面差《おもざ》しをしていた。そのおりの中幕《なかまく》に、喜多村が新しい演出ぶり....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て白づくめでございます。そしてどちらかと云へば面長で、眼鼻立のよく整った、上品な
面差の方でございます。私はまだ仙人というものをよく存じませぬが、若し本当に仙人が....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
か」 ヤスは呆然、目を皿にしたが、 「いいえ。気がつきませんでした。そういえば
面差しが残っています。一しょに遊んだのは六ツ七ツの頃ですけど」 夢之助をよんで....
「魔都」より 著者:久生十蘭
知りませんね、聞かしてちょうだい」
と、気味の悪い声をあげたのは印東忠介で、
面差は廿二三だが、十七八としか見えぬ発育不良の骨柄。百人一首の業平朝臣のような間....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
けざまに倒れかかった。 その顔! あの夜の少女……、エレアーナ王女の、その、
面差だった! 何を思慮する暇もなかった。ひと飛びに車道をはね越え、手近の男の肩....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
スタイルの三面鏡と、弧になった大きな化粧台がつくりつけになり、そのうえに、美しい
面差をしたひとの写真が、ひっそりと乗っていた。 カオルは庭にむいた扉をあけて、....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
て、出たり這入ったりする人を眺めては、その数知れぬ顔のうえに、遠い昔のなつかしい
面差を探しているのだった。これこそ自分の息子に違いないと思われる顔を見かけたこと....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
眼の中には、堅忍とでもいったような、ゆるぎのない光がやどっていた。『母』の、あの
面差しだった。 「あたし、ついこのごろまで、あのひとをどんなに恨んでたか知れませ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
せんでした。 二十一、二か、三ぐらい、さっきの娘の姉なのでしょう、妹とよく似た
面差しはしていますが、これは妹と違って細面の、艶やかな瞳……愛らしい口許……隆い....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
弱い子を丈夫に育てたいという親心から、千手観音に頼んだものでしょうが、その赤坊の
面差が、振り捨ててきた自分の子供に生き写しだというので、女は里を離れる時から憂鬱....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
りまして、もはや議論の余地はありません。したがって議論ではなるほどと承認して、表
面差別待遇をしなくなりましても、因習の根本たる歴史が明らかになっていなかったなら....