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面憎い
「面憎い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面憎いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
だ浮かない顔をしたまま、「どうして?」と、疑わしそうに尋ねました。すると泰さんは
面憎いほど落着いた顔をして、「何、訣《わけ》はありゃしない。君が逢えなけりゃ――....
「地中魔」より 著者:海野十三
泣面をかくぞ、ざまア見やがれ」と大きなことをいっているのは、怪盗とはいえ、なんと
面憎いことではないか。しかし日本国中の人間どもが、泣面をかくことなどという恐しい....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
おわびを申しているんでごぜえます」 「なにッ。下手からとは何じゃ! その言い草が
面憎い! こっちへ出い!」 「笑、笑談じゃござんせぬ。ごらんの通りわたしどもは田....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
んでに女の悪口を言い出した。内儀さん気取りでいたとか、お客分のつもりでいるのが小
面憎いとか、あれはただの女じゃあるまいなどと言い出した。 新吉はただ苦笑いして....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
おとなしく仲間になっているように見せかけて、急に寝返りを打った庸之助に対して、小
面憎い感を免かれない。 「フン、貴様がそう出りゃ、こっちもまた出ようもあらあ」と....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
鼻から赤恥をかかされおって」 しかし一方若侍どもは悠々|逼らざる葉之助の態度を
面憎いものに思い出した。 「誰か出て二、三本使ったらどうだ」 「しからば拙者」「....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
たんです。ちょっと来て下さらない、池のところまでですの」 春部はこれまでいつも
面憎いほど取澄していたが、このときばかりは若い女子動員のように騒ぎ立てた。 「困....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に七万両の金の使用方を提供されながら、別段に有難い面もせずに腹へ落してしまう奴が
面憎い。今のおれの目の前に七万両はおろか、七千両でも、七百両でも、七十両でも、無....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
しそうに、眼を据えて見物していた。 (可愛らしいお方)と主税に対しては思い、(小
面憎い奴)と覚兵衛に対しては感じ、この二つの心持から、あやめをしてしまったのであ....
「月世界競争探検」より 著者:押川春浪
た事と存じまして、早速御迎に出ますると、貴方様ではのうて、」 「えッ?」 「あの
面憎い秋山男爵。」 「何? 秋山男爵?」 「はい。下僕と二人で這入って参ります。....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
プーイと飛びだして、敵方の柳派の柳枝さんのところへ駈け込んでしまったというから小
面憎い奴とおもい、それで師匠の風当りが悪くなったのだとばかり考えていたら、なんの....
「無月物語」より 著者:久生十蘭
揺《ゆる》るなり、あしの下ねの夢ぞよしあし」などと猥《ろう》がわしい和歌を詠み、
面憎いようすだった。 後白河法皇の院政中は、口を拭っておとなしくさえしていれば....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
になれの、発奮しろの、手を取り合って世の中へ出ようのと、いう口吻からして、思えば
面憎い限りである。 その泣き落しにのせられて、涙をこぼしたかと考えると、又八は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ったでしょう。かつは宮の御家来ならどんな非理でも通ると心得おるその思い上がりが小
面憎い」 「まあ直義、そう一途に申すなよ。世相にはうらおもてもある。むずかしい…....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、能く言えば人間界では余り幅の利かない仙人という者に近い人なのであろう。時には小
面憎いほど羨ましいと思うこともあるが、時には如何かしてやりたい様な気のすることも....