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面皰
「面皰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面皰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖《あお》の尻を据えて、右の頬に出来た、大きな
面皰《にきび》を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。
作者はさっき....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
中の一人だった。その兵は石に腰をかけながら、うっすり流れ出した朝日の光に、片頬の
面皰《にきび》をつぶしていた。
「第×聯隊だ。」
「パン聯隊だな。」
江木上等....
「玩具」より 著者:太宰治
絹布を引き裂くような叫びをあげる。しばらく私のすがたを見つめているうちに、私には
面皰《にきび》もあり、足もあり、幽霊でないということが判って、父は憤怒の鬼と化し....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
の上《へ》のノオトは浪《なみ》が消しゆきぬこのかなしみは誰が消すらむ――に終る、
面皰《にきび》だらけの歌を十首ばかり作りあげ、翌日M嬢に手渡そうとおもいました。....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
達て宿賃をお払いなさる時に、懐から出した胴巻には、金が七八十両あろうと見た時は、
面皰の出る程欲しくなりました、あゝ此の金があったら又|一山興して取附く事もあろう....
「黒髪」より 著者:近松秋江
していた。 「こんな物が出来てえ」と甘えるような鼻声になって、しきりに顔の小さい
面皰のようなものを気にしている。 「私、ちょっと肥りましたやろ」 「うむ、ええ血....
「足迹」より 著者:徳田秋声
それから水口の方へ出て顔を洗うと、間もなく膳の側へ寄って来た。紫色に爛れたような
面皰が汚らしかった。 飯がすむと、お庄は二階へあがって叔父の寝所を片着けにかか....
「老年と人生」より 著者:萩原朔太郎
のそれと同じく、正に仏説の餓鬼地獄に類するだろう。汗で油ぎってる黒い顔に、いつも
面皰《にきび》を吹き出してる中学生の群を見る時、僕は自分の過去を回想して、言いよ....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
いが眼尻は垂れ下り、唇厚く真赤で猪八戒に似ているくせになかなかのおしゃれで、額の
面皰を気にして毎朝ひそかに軽石でこすり、それがために額は紫色に異様にてかてか光っ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
っけ。――何んでも、自分の身体の中から侏儒の様な自分が脱け出して行って、慈昶君の
面皰を一々丹念に潰して行くのです。そして全部潰し終ると、顔の皮を剥いで大切そうに....
「虎狩」より 著者:中島敦
やがて、その彼の、いや私達の哀《かな》しい恋情は、月日が経って、私達の顔に次第に
面皰《にきび》が殖《ふ》えてくるに従って、何処かへ消えて行って了った。私達の前に....
「同胞」より 著者:豊島与志雄
わなかったが、小学校から中学校へ進んで、それらのことがいつしか止み、顔に一つ二つ
面皰《にきび》が出来、独り勝手な空想に耽る頃になると、兄弟も姉妹もないことが、甘....
「春」より 著者:豊島与志雄
伸び出ても、密閉された寝室の中はやはり息苦しい。多分の血液を湛えている皮膚には、
面皰《にきび》や薄痣や雀斑などが浮上っている。黄色い歯並の覗き出してる半開の口、....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
余るものだ、あの金さえあれば主人を世に出し、御恩報しも出来るものをと思いますと、
面皰の出るほど欲くって堪らないから、うか/\と思わず知らず追貝村まで彼の百姓の跡....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
はしつけのいいもので、ニヤリともせず真面目くさり、髭のない男の手持なげに、見事な
面皰を爪探りながら、勝手の方に引込んでしまった。 お夏は帰るにも帰られず、折角....