面窶れ[語句情報] » 面窶れ

「面窶れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

面窶れの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、まだちっと寒気がする肩つきで、寝着の上に、縞の羽織を羽織って、珍らしい櫛巻で、面窶れがした上に、色が抜けるほど白くなって、品の可いのが媚かしい。 寝床の上に....
蠅男」より 著者:海野十三
麗人は、惨劇の玉屋総一郎の遺児糸子であった。彼女は声をかけた主が帆村だと知ると、面窶れした頬に微笑を浮べて近よってきた。 「もう外へ出てもいいのですか。何処へお....
うつり香」より 著者:近松秋江
!」と笑った。 二、三日|逢わなかった懐かしい顔は櫛巻きに束ねた頭髪に、蒼白く面窶れを見せて平常よりもまだ好く思われた。 「どうしたの。そのままだって構やしな....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
と、あわただしく報告するのであった。 「そう!」 葉子はその時少し熱があって、面窶れがしていたが、子供のこととなると、仔猫を取られまいとする親猫のように、急い....
旅愁」より 著者:横光利一
葉のまま水面に突き立っている他は、園内の木の葉は黄色を滲ませて美しかった。幾らか面窶れを見せた千鶴子の頬の細さが、日ごろよりも鹿に似て見える唇に、薄紅をつけてい....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
うに口ずさんでいる。 その顔を、凝乎と見ると、種々な苦労をするか、今朝はひどく面窶れがして、先刻洗って来た、昨夕の白粉の痕が青く斑点になって見える。「……万里....
立札」より 著者:豊島与志雄
夜、ひそかに外出の仕度をしたところを、張一滄につかまりました。 張一滄はひどく面窶れがして、その肥え太った身体は、骨ぬきのぶよぶよの肉ばかりのようでありました....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
美味を食らいかつ美酒を飲みつつあるのだ。夢みるその碧眼はおどろな色をただよわし、面窶れのした様は何とも名状しがたいほどだが、満悦の気色はつつみかねたと見えた。覚....
決闘」より 著者:神西清
い子供のような生き生きした歓びを、胸に呼び醒ますのに驚くのだった。蒼ざめてひどく面窶れのしたナヂェージダ・イ※ーノヴナは、男のもの柔しい声や妙な態度に合点が行か....
魔都」より 著者:久生十蘭
》い素振りをされて以来、どんなに思い悩んだのであろう。わずか半日のうちにすっかり面窶れがして、それ故にまた一層メランコリックな美しさをました面差を振り向け、台の....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
直卿乱行の為に、一方ならず心を痛められたが、既にそれは一段落|着いたのであった。面窶れも今は治って、血の気も良く水々しかった。 雪深き越路を出て、久々にて花の....
愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
から少し離れた所に一人の婦人が佇んでいるのを発見した。 年の頃は二十五六、少し面窶れはしているが、丸髷に結った奥さん風のすっきりとした美しい婦人である。 じ....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
ンはその様子をジッと眺めた。美しい中にもどこかに気品のある容貌、それにいささかの面窶れが見えて、人をして思わず深い同情愛憐の心を起さしめる。 ルパンは我知らず....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ない涸れ小川に見入っている女性がある。 女性の姿は、暗い翠の翳にかこまれ、その面窶れまでが、妖しいほど美しく、暗所の女人像のように見えた。 「……はて、どうも....