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面立ち
「面立ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面立ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
秀でている禿齢の紳士であった。フランス髭を両顎近くまで太く捻っているが、規矩男の
面立ちにそっくりだった。 かの女はつと立ち上り、その大額面の下に立ってやや小腰....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ヤッと目をみはる。どこか悪いらしく寝台にねているミュンツァは、三十|恰好の上品な
面立ちの男だ。折竹が、来意を告げると踊りあがるような悦び。あのK・Mとは、やはり....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
う》の髪に、鼻すじの通ったあお黒い顔、きりっと結んだ口、いかにもおんな好きのする
面立ちは、忘れもしない、たしかにあの田万里で、一しょに小川の目高《めだか》を掬《....
「道づれ」より 著者:宮本百合子
うに眉をあげて相手を見、ききかえそうとしたが、 「ああ、本当にね」 やや浅黒い
面立ちに、はっきりした表情をとり戻した。 「あなたさえよかったら、いっそ今日よっ....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
子のからだは、はればれと二十一歳の愛くるしさにみちて、声も美しく深まった。浅黒い
面立ちのうちにあるおとなしさと熱意とは、つつましく身だしなみのよい若い女教師の表....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ハ、地主ヘ地返シスルノ礼ニ行ッテ――」 六十六 いよいよ地
面立ちのきを食ったな。しかし、世渡りをしただけに、目先の見えるところもある―― ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
けほどの紫の菖蒲が咲くのですって。その紫の花が咲き連っている間を、色の黒い高貴な
面立ちの王が、黄金色の日傘をさして散歩されるのは、美しい眺めだったと話していたの....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
がれているということを、わたくしは知人の娘から聞かされていた。目前の、愛想のいい
面立ち、いかにも優しい魅力にとんだ仕草などを、しみじみと眺めながら、娘たちが騒ぎ....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
づいたような気持で亡夫のことをあれこれと思い出すのだけれど、眼にまつわるのはその
面立ちよりも不思議にいかつい肩のあたりや墨汁臭い指だった。この思いがけなさに清子....