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「面色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

面色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
世にも不思議なものを見た事はございません。あの意地の悪そうな、苦《にが》りきった面色《めんしょく》が、泣くとも笑うともつかない気色《けしき》を浮かべて、眼ばかり....
外科室」より 著者:泉鏡花
なにがし侯と、なにがし伯と、みな立ち会いの親族なり。しかして一種形容すべからざる面色《おももち》にて、愁然として立ちたるこそ、病者の夫の伯爵なれ。 室内のこの....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
だ》きて、 「まあ、おきのどくだったねえ」 渠は慰むる語《ことば》なきがごとき面色《おももち》なりき。馭者は冷笑《あざわら》いて、 「なあに、高が馬方だ」 「....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、織次は巻莨《まきたばこ》を火鉢にさして俯向《うつむ》いて莞爾《にっこり》した。面色《おももち》は凛《りん》としながら優《やさ》しかった。 「粗末なお茶でござい....
婦系図」より 著者:泉鏡花
何か、思い屈した、沈んだ、憂わしげな色が見える。 好男子世に処して、屈託そうな面色で、露店の三世相を繰るとなると、柳の下に掌を見せる、八卦の亡者と大差はない、....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
なり。天これを許したまわぬなり。…… 公子 (眉を顰む。――侍女等|斉しく不審の面色す。) 博士 ……この女思込みし事なれば、身の窶るる事なくて、毎日ありし昔の....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
もっての外元気の可い声を掛けたが、それまで目を瞑っていたらしい、夢から覚めた面色で、 「またしてもお見舞……令嬢、早や、それでは痛入る。――老人にお教へ下さ....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
った。…… 頤骨が尖り、頬がこけ、無性髯がざらざらと疎く黄味を帯び、その蒼黒い面色の、鈎鼻が尖って、ツンと隆く、小鼻ばかり光沢があって蝋色に白い。眦が釣り、目....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
して、 「貢さん!」 顔をあげてぞ見たる、何をか思える、小親の、憂慮わしげなる面色なりしよ。 「また、鼠とでも話すのかね。」 「考えてるの。」 「そんなこと云....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
泣きもせで、濁りも去った涼しい目に、ほろりとしたのを、熟と見て、廉平|堪りかねた面色して、唇をわななかし、小鼻に柔和な皺を刻んで、深く両手を拱いたが、噫、我かつ....
取舵」より 著者:泉鏡花
はてな、小用場はどこかなあ。」 なお応ずる者のあらざりければ、渠は困じ果てたる面色にてしばらく黙せしが、やがて臆したる声音にて、 「はい、もし、誠に申兼ねまし....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
リヤアドは衝と立ちあがり、床に二ツ三ツ足ぶみして、空ざまに手をあげしが、勇ましき面色なりき。 「こんなに、よくなりました。上杉さん、大丈夫、駈けてみましょう。門....
三枚続」より 著者:泉鏡花
小男であった。 金之助ははじめて心着いて、はたと立留って顔を見て、不意だという面色で更に見直したが、 「おお、どうして、」と驚いて言った。 ここに先刻からお....
式部小路」より 著者:泉鏡花
くんなせえ、待っとくんなせえ、」 愛吉聞くうちにきょろきょろして、得もいわれぬ面色しながら、やがて二階を瞻めた。 「待ちねえ。おかみさん、活きてるね、大丈夫、....
活人形」より 著者:泉鏡花
を見せてやる。立て、ええ立たないか。「あれ。と下枝は引立られ、殺気満ちたる得三の面色、こは殺さるるに極ったりと、屠所の羊のとぼとぼと、廊下伝いに歩は一歩、死地に....