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面貌
「面貌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面貌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
ともがらは、皆われの如く、翼なく、鱗なく、蹄なし。況《いわん》や何ぞかの古怪なる
面貌あらん。」われ、さらに云いけるは、「悪魔にしてたとい、人間と異るものにあらず....
「富士」より 著者:岡本かの子
て語らない。しかし部落の土民たちがこれを語るときに現す、山の祖神に対する親しげな
面貌よ。稚気と未練に含まれて、そこに何かあるに違いない。 女は年頃になった。相....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ような笑い方をした。その笑い方はやや鼻にかかる笑い方で、凜々しい小ナポレオン式の
面貌とはおよそ縁のない意気地のなさであった。 「規矩男さん、あなたを見ていると、....
「天馬」より 著者:金史良
犬同様だった。殊に悪いことには自分が朝鮮人であることをどう隠そうにも、彼の骨組や
面貌がまぎれもなく朝鮮人に出来ているので、下宿へ宿ろうとしても第一が顔、それにぼ....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
浪の思わくとの異っているのを悲む色を面に現しつつ、正直にしかも剛情に云った。その
面貌はまるで小児らしいところの無い、大人びきった寂びきったものであった。 お浪....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
をなさんとて、座敷より休息の室に開きける時、介添の婦人はふとその顔を見て驚きぬ。
面貌ほとんど生色なく、今にも僵れんずばかりなるが、ものに激したる状なるにぞ、介添....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
こんだ樹陰のほの暗さ、池はその周囲の幽暗にくまどられ、明方の月のように静寂な水の
面貌を浮べていた。白鳥が二三羽いた。落葉が水上で朽ちて小さな浮島のように処々にか....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
痩せぎすなたちで、前歯が虫に食われて味噌歯になっている。 その味噌歯がこの男の
面貌に愛敬を添えていた。それでも寂しく笑った時に、鶴見はそこに若者らしくない窶れ....
「競漕」より 著者:久米正雄
して聞かせた。「苦るしいけれども今に面白くなるよ」と彼の眼瞼を垂れた黒光りのする
面貌が語っていた。 打ち見たところ、皆はすっかり融け合っているらしかった。浅沼....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
深紅に染め、それが、線を為し、筋を為し、円を描き、方形を形成り、流れ凝り、紙帳の
面貌は、いよいよ怪異を現わして来た。 が、紙帳の外は? ここ紙帳の外は、修羅....
「取舵」より 著者:泉鏡花
憂目に遭いし盲翁の、この極楽浄土に仏性の恩人と半座を分つ歓喜のほどは、著くもその
面貌と挙動とに露れたり。 「はい、もうお蔭様で老夫め助かりまする。こうして眼も見....
「迷信解」より 著者:井上円了
は人の性質をあらわし、書を検してその人の気質のいくぶんを知ることあるは、あたかも
面貌につきて、その人の性質を判ずることを得ると同様である。ゆえに、相字法も全然排....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
を告げたエセックス伯の歴史のなかにこそ、われわれは逆運と闘う一個の人間の悲劇的な
面貌を見、かつ没落世界のあの世からの呻きをさながら聞き分ける思いをするであろう。....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
十分の強みを抱きて、背をも屈げねば肩をも歪めず、すっきり端然と構えたる風姿といい
面貌といい水際立ったる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴れ小気味の....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
く、 『軍人の住民の宅に入りて捜査するを許さず、若し違反する者あらば住民はその
面貌 等を記して告発す可し』 と。そして清刑部郎中・端華如等をしてその事務を処....