面輪[語句情報] »
面輪
「面輪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面輪の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「勝敗」より 著者:渡辺温
幸子が最後の日迄起き伏しをしていた部屋で、遺品《かたみ》の品々の間に、愛しい妻の
面輪をいつくしみ度い心からでもあったろう。 旻はそれ以来すっかり衰弱してしまっ....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
なる。女の人がちょっと出て行って、今度帰って坐った時には、向き合いになってももう
面輪が定かに見えない。 女の人は、立って押入から竹|洋灯を取りだして、油を振っ....
「アンドロギュノスの裔」より 著者:渡辺温
彼女の出る映画ばかりを漁っている中に、だんだん彼女の何時も深い愁しみに隈どられた
面輪が、頭の中のスクリインに大写しのようにいっぱいに映ったまま消えなくなったので....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
らせる この冬近いあかるみのなか あなたはまた かわいい息子と嫁と 孫との乾いた
面輪をこちらに向かせ 話しつづけているのではないだろうか 仏壇のいろあせた写真が....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
い娘の中に自分の衷なる精神の花を皆投げこんで咲かせたものでなければならぬ。 君が
面輪の美しき見れば 花はみな君にぞある…… これは中世イタリーの詩人の句片だ。....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
の馬車へ! 追手が来ますから……」 声の主は、エレアーナ王女だった。白い美しい
面輪の中に、不安と恐怖の色をうかべながら、息も絶えだえに叫んでいる。 「早くして....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
がもって高座に上げる。――やがて、音もなく、御簾が上がる。――小せんは、さびしい
面輪をふせて、身を、釈台に凭《もた》らせている……。 バタバタと鳴る拍手――そ....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
いた美男美女のカップルなど、二十余年を経た今日といえども、まざまざとそのあえかな
面輪を羨ましく思い泛べることができる。かくして私はいつも自分一人か野郎同士で、品....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
小石を投げこんでみる。 今、そこにわれわれの心がすでに見知っている、かの懐しい
面輪がひろがるのだ。そして、もし、鋭い聴覚を備えた魂なら、小石の落ちた瞬間の水の....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
《こうずか》が写楽を珍重するは単に好奇の念のみにはあらず、その布局その色彩及び顔
面輪廓の描線等、油絵肖像画の新発展につきて多大の参考となるがためなるべしと思為《....
「はつ恋」より 著者:神西清
それが時たまいっぱいに見開かれると――顔つきがすっかり変ってしまって、まるでその
面輪に光がみなぎりあふれるように見えた。 「ねえ、昨日あたしのしたこと、どうお思....