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面魂
「面魂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
面魂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
ら》う筈にして置いたところへ。 色の浅黒い、眼に剣のある、一見して一癖あるべき
面魂《つらだましい》というのが母の人相。背《せい》は自分と異《ちが》ってすらりと....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
あらざるなり。渠は千の新を合わせて、なおかつ勝《まさ》ること千の新なるべき異常の
面魂《つらだましい》なりき。 その眉《まゆ》は長くこまやかに、睡《ねむ》れる眸....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
はバタリと机の上の書物を閉じた。 「こちらへお通しなさい」 支倉喜平は一癖ある
面魂に一抹の不安を漂わせながら、書斎に這入って来た。 「御無沙汰いたしました」 ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
り》にした紙線《こより》で巻き立て、むずかしい眼を一筋縄でも二筋縄でも縛りきれぬ
面魂《つらだましい》に光らせて居たのだから、異相という言葉で昔から形容しているが....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
た。 「そんげえなもんじゃねえだア。」 いかにも、そんげえなものには怯えまい、
面魂、印半纏も交って、布子のどんつく、半股引、空脛が入乱れ、屈竟な日傭取が、早く....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
思議の働き故、頼まれもせぬに槍を合せてみたところ、その傍にいた一匹の黒い犬、その
面魂《つらだましい》、ちっとも油断がならなかった。さてはこの犬であったか」 二....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。 兵馬は知らない人だが、その川上と呼ばれた男、見たところ柔和なうちに精悍な
面魂《つらだましい》と、油断のない歩きぶりと、殺気を帯びた歯切れのよい挨拶ぶりを....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ろが熊蔵秘書が怖しい。これも四十がらみであるが、何百人叩き斬ったか分らないという
面魂である。戦争で何万人殺したって凄みはでないが、この先生は天下泰平の時代に人殺....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
珍品ぞろいだ。この品物と一しょにいると、品物が持主を殺したがるに相違ない。品物の
面魂を見てごらん。ジッとイノチを狙っているね。そういうのが三十や五十はあるだろう....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
溯り、一隻の小舟が駛っていた。 四五人の男が乗り込んでいる。 いずれも不逞の
面魂で、善人であろうとは思われない。 夕陽が川水を照らしている。今にも消えそう....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
伏せて苦笑するなり 洋服の姿になるも悲しけれ あの世の母に見せられもせで 獰猛な
面魂をよそにして 弱い淋しいアイヌの心 力ある兄の言葉に励まされ 涙に脆い父と別....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
めてであった。肉はうまいということだ。なるほど、そうかも知れんと思ったね。第一、
面魂がなんとも物凄くて癪にさわるから、是が非でもモリモリ食ってやりたいと思うね。....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
時まだ五段ぐらいの無名の棋士であった。 升田も板谷も出来損いの剣術使いのような
面魂で、肩先三寸斬られた傷がまだ治らないような風態である。 そこへもってきて、....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
は、むろん不精からだろうが、それがかえって油断のならない感じかも知れない。精悍な
面魂に欠けた前歯――これがふと曲物のようなのだ。いずれにしても一風変っている。 ....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
あろう。観念の眼を閉じて、安らかに大往生を遂げたとは思えない。思いたくない。あの
面魂だ。剥いでも剥いでも、たやすく芯を見せない玉葱のような強靱さを持っていた人だ....