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靴墨
「靴墨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
靴墨の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
面白さに、それを手始めにマッチの悪戯をちょいちょいやる。時には靴を磨くブラッシに
靴墨を塗って置いて、暗やみで摺れ違いながら人の顔を撫でたりしたそうです。いつの代....
「縮図」より 著者:徳田秋声
けての旦那衆には、親爺の靴に限るという向きもあって、註文は多いのであった。靴紐や
靴墨、刷毛が店頭の前通りに駢び、棚に製品がぱらりと飾ってあったが、父親はまだ繃帯....
「マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
の蓋を吹いて」中から下着をとり出した。鞄の中ほどまで色様々な茶の錫紙のレッテル、
靴墨、鰯の空罐などがぎっしり詰っていた。 「何があるの?」 「今わかるよ……」 ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
んそうか、土産ものも売っとるう、写真に絵はがき、首かざり、宝石入指環、はみがきに
靴墨。――ちぇっ、そんなものは沢山だ」 怪事件突発! なにしろこういう絶....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
んだそうだが、私の考えでは、これは例の過激派|鬚を焼かない用心だと思う。そのほか
靴墨やら野菜やらぼたんない感じのする「労働者の天地」だといいたいだけだ。と言った....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
は必ず自分で念入りに服にブラシをかけ、気取った犢皮《こうしがわ》の靴を特製の英国
靴墨で鏡のように磨きあげるのが好きであった。料理人としての彼は実に立派なものであ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
脳天、毛むくじゃらの耳、ひどく笑うときには井のようにうち開く前歯のぬけた黒い口、
靴墨で真黒な太い鋏《はさみ》でよく手いっぱい刈り取っている逆立った汚《きたな》い....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の皺《しわ》くちゃになった襟飾《えりかざ》りや、角張った大きな古上衣や、やたらに
靴墨《くつずみ》を塗りたてた靴などが、接待人らを驚かしたことを見て取った。だれも....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
鹸《せっけん》をつけ、拭《ぬぐ》いをかけ、髯《ひげ》を剃《そ》り髪を梳《す》き、
靴墨《くつずみ》をつけ、てかてかさし、みがき上げ、刷毛《はけ》をかけ、外部だけき....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
んか、考えただけでも胸が悪くなる。それであたしがいってやった。 「鍋墨なんかより
靴墨のほうが文化的だよ。〈風とともに去りぬ〉にそんな場面があったね。赤かしら、黒....
「地上」より 著者:島田清次郎
誰よりも先に登校した。火鉢に炭火を分け入れていた小使の爺が驚いたほどに、てか/\
靴墨で黒光する長靴を短い脚に穿いて、彼は廊下を足音高く歩いた。そして朝の早い校長....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
たが、やがて、 「覚えとれ!」 そして、そわそわと逃げるように立ち去った。顔に
靴墨の跡を残したまま。 「阿呆! 貴様のような阿呆のこと、いつまでも覚えてられる....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
身でせなければならぬ。船の方では一切構わぬというきまりである。ゆえに船客はみな、
靴墨から洗濯シャボンまで持参して乗りおるが、拙者は不慣れのためにその用意なく、少....