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鞋
「鞋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鞋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
を言いたくはありません。が、棟梁、お前《まえ》さんの靴は仁王様《におうさま》の草
鞋《わらじ》も同じなんだから」と頭を下《さ》げて頼んだと言うことです。けれども勿....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
してあったのを覚えている。貧家に人となった尊徳は昼は農作の手伝いをしたり、夜は草
鞋《わらじ》を造ったり、大人のように働きながら、健気《けなげ》にも独学をつづけて....
「或る女」より 著者:有島武郎
っかり自分の手の中に握るまでは、早計に木村を逃がしてはならない。「宿屋きめずに草
鞋《わらじ》を脱ぐ」……母がこんな事を葉子の小さい時に教えてくれたのを思い出した....
「或る女」より 著者:有島武郎
を破らずに別れた自分のやりかたはやはり図にあたっていたと思った。「宿屋きめずに草
鞋《わらじ》を脱」ぐばかをしない必要はもうない、倉地の愛は確かに自分の手に握り得....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は疎藪《ぼさ》の中に飛びこんだ。とげとげする触感が、寝る時のほか脱いだ事のない草
鞋《わらじ》の底に二足三足感じられたと思うと、四足目は軟いむっちりした肉体を踏み....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
なると長く地の上を領していた冬が老いる。――北風も、雪も、囲炉裏も、綿入れも、雪
鞋も、等しく老いる。一片の雲のたたずまいにも、自然のもくろみと予言とを人一倍鋭敏....
「親子」より 著者:有島武郎
って、いやな不自然さがみなぎってしまった。小作人たちはあわてて立ち上がるなり、草
鞋のままの足を炉ばたから抜いて土間に下り立つと、うやうやしく彼に向かって腰を曲げ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
そうな気の可い顔色。 「御串戯もんですぜ、泊りは木賃と極っていまさ。茣蓙と笠と草
鞋が留守居。壁の破れた処から、鼠が首を長くして、私の帰るのを待っている。四五日は....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
安達ヶ原ですか。」 と聞く方が慌てている。 「いいえ爺さんですがね、一人土間で草
鞋を造っていましてね。何だ、誰じゃいッて喚くんです。」 「いや、それは恐縮々々。....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の尖った高さ三尺ばかり、鯰の尾に似て非なるものを頂いて。その癖、素銅の矢立、古草
鞋というのである。おしい事に、探偵ものだと、これが全篇を動かすほど働くであろう。....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
て、藪は自然の寺の垣。 ちょうどそのたらたら坂を下りた、この竹藪のはずれに、草
鞋、草履、駄菓子の箱など店に並べた、屋根は茅ぶきの、且つ破れ、且つ古びて、幾秋の....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
い換えれば、悉く旧物を捨てて新らしきを求め出した時代である。『膝栗毛』や『金の草
鞋』よりも、仮名垣魯文の『西洋道中膝栗毛』や『安愚楽鍋』などが持て囃されたのであ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
つと(あんじまいぞ。)と書いてあった。 祖母は、その日もおなじほどの炎天を、草
鞋穿で、松任という、三里隔った町まで、父が存生の時に工賃の貸がある骨董屋へ、勘定....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
に洗われた山の空気は、まことに清浄それ自身であった。Mさんはよろこんで、早速|草
鞋をはいた。しかし一日の雨ごもりで、すっかり気を腐らした私には、もう山に登る気が....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
二時間の後にはもう自分自身の道を見出して進んでゆきつつあることに気がつく。 草
鞋の軽い足どりに蹴返さるる落葉の音が四辺の静かさを破ってひっきりなしに続いてゆく....