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「鞍壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鞍壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
と、たちまち一頭、血みどろの口をした黒犬が、すさまじくうなりながら、砂を巻いて鞍壺《くらつぼ》へ飛びあがった。とがった牙《きば》が、危うく次郎のひざへかかる。....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
大坂城の中へ楔《くさび》のごとく食い入って行くのを見ると、他愛もない児童のように鞍壺《くらつぼ》に躍り上って欣《よろこ》んだ。 先手の者が馳せ帰って、 「青木....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
われたのに、肝腎な脇腹には一向それらしい傷跡すらも見えなくて、全然予想以外の丁度鞍壺に当る内股のところから、それも馬乗り袴を通して、ベっとりと疑問の生血が滲み出....
自転車日記」より 著者:夏目漱石
り、自転車は逆立も何もせず至極《しごく》落ちつきはらったものだが乗客だけはまさに鞍壺《くらつぼ》にたまらずずんでん堂とこける、かつて講釈師に聞《きい》た通りを目....
幻影の盾」より 著者:夏目漱石
》む。二人の槍《やり》の穂先が撓《しわ》って馬と馬の鼻頭《はなづら》が合うとき、鞍壺《くらつぼ》にたまらず落ちたが最後無難にこの関を踰《こ》ゆる事は出来ぬ。鎧《....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、身を翻えして行く。 「今日の獲物、いざお受け取り!」 声と一緒に一人の武士は鞍壺に縛えた小男を一振り振って投げ出した。 「忝けない!」と飛び交え、腰を捻ると....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《むち》を振り上げて丹後守を打とうとした時に、何のはずみか真逆《まっさか》さまに鞍壺《くらつぼ》から転《ころ》げ落ちて、馬は棹立《さおだ》ちになった。 なにげ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てそのまま、ぐんにゃりとしてしまうことはできない、直ちに残して起ち上るや、三たび鞍壺にかじりついていた米友の両足をとって、力任せにグングン引張り、ついにやっとす....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
舵《かじ》をさらわれた舟のように煩《わずら》わされきって、おのおの泣かんばかりに鞍壺にとりついて歩ませたり、なかには下り立って、馬の口を取って、馬をいたわり歩か....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
った時に、そいつを見たがね、足の早い白い牝馬《めうま》だったよ。耳が開いており、鞍壺《くらつぼ》が深く、きれいな頭には黒い星が一つあって、首が長く、足も高く上が....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
原であった。甚三の馬が悠々と、主人の兇事も知らぬ顔に、一心に草を食っていた。その鞍壺へ手を掛けると甚内は翩翻と飛び乗った。ピッタリ馬背へ身を伏せたのは、手裏剣を....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
横《よこた》ふ天の川 同 猪《ゐのしし》も共に吹かるゝ野分《のわき》かな 同鞍壺《くらつぼ》に小坊主乗るや大根引《だいこひき》 同 塩鯛の歯茎も寒し魚《う....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
くさには足軽大将をうけまわったのを誇りとしている荏原権右衛門であった。彼はすぐに鞍壺からひらりと降り立って、姫の前にうやうやしく式代した。 「権右衛門、そなたも....