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韜晦
「韜晦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
韜晦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
唇に浮べながら、
「美人か――ありゃ僕の――まあ好いや。」と、思わせぶりな返事に
韜晦《とうかい》してしまった。
「一体どこへ行ったんだ?」
「ありゃ僕の――」に....
「或る女」より 著者:有島武郎
ま書き現わされているように思って涙を感じます。
なぜあなたは自分をそれほどまで
韜晦《とうかい》しておられるのか、それには深いわけがある事と思いますけれども、僕....
「女生徒」より 著者:太宰治
て処理して行くほうがいいのか、または、人に悪く言われても、いつでも自分を失わず、
韜晦《とうかい》しないで行くほうがいいのか、どっちがいいのか、わからない。一生、....
「狂言の神」より 著者:太宰治
山のそれのように突如、天をも焦《こ》がさむ勢にて噴出し、ために、「なあんてね」の
韜晦《とうかい》の一語がひょいと顔を出さなければならぬ事態に立ちいたり、かれ日頃....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
子外れのものや、またそうなっても、自分だけはけっして驚かされまいとする――一種の
韜晦味《とうかいみ》などを求めていたけれども、しだいにそういった期待が望み薄くな....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
八月の海岸地の繁茂する野菜畑に響き渡った。氏が妙に空虚に張った声の内容には、何か
韜晦する感情が、潜んでいるようにも感ぜられた。ことによったら氏は家庭へ帰る代りに....
「新ハムレット」より 著者:太宰治
嘘の天才! よくもそんな、白々しい口がきけるものだ。ハムレットさま、そんな浅墓な
韜晦は、やめて下さい。若い者なら若い者らしく、もっと素直におっしゃったら、いかが....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
られて来た。が、人生及び社会を対象とする今日以後の文人は、昔の詩人のように山林に
韜晦する事は出来ない。都会に生活して群集と伍し、直接時代に触れなければならぬ。然....
「青春論」より 著者:坂口安吾
としてはふさわしくないところもある。そんなわけで、剣術本来の第一精神があらぬ方へ
韜晦された風があり、武芸者達も老年に及んで鋭気が衰えれば家庭的な
韜晦もしたくなろ....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
た。 「浮世は逆さまでございますとも。そこで大変息苦しい。そこで当分貝十郎式に、
韜晦して恋にでも耽るがよろしい」 「でも、勇気がございましたら。……」 「あ、待....
「雪の宿り」より 著者:神西清
った趣がある。気の毒な老人だ。だがその一面、狂詩にしろ奇行にしろ、どうもその陰に
韜晦する傾きのあるのは見逃せない。俺にはとてもついて行けない。…… 「そこで山外....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
長い間どうすることも出来ないでいた。鴎外は他を言っているのではなかろうか。自己を
韜晦しているのではなかろうか。それが心寂しく飽足らなかったのである。 鴎外の意....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
治二十二年の夏であって、これから以後の数年は生活の保障に漸く安心して暫らく官途に
韜晦し、文壇からは全く縁を絶って読書に没頭する事が出来た。 露語の両川・高橋時代....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
たが、舞台の役者を土間や桟敷から見物するような心持でいた。 『浮雲』以後は暫らく
韜晦して文壇との交渉を絶ち、文壇へ乗出す初めに提携した坪内博士とすら遠ざかってい....
「正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
ためにということから、はなれて自己満足のために、愛欲の生活のために若くは、自己|
韜晦のために、筆を採るというように、作家の意気を失墜するものがあると考えられる。....