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「音吐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

音吐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
――これは村の名である――「川辺の三郎どん」の存在は、ようやく明かになって来た。音吐朗々という形容が、全く適切なほど、量の豊な、丸みのある美音と、見事な眼と、雲....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
逕が悉くこれに当っていたからである。漁村の書を講ずる声は咳嗄れているのに、竹逕は音吐晴朗で、しかも能弁であった。後年に至って島田篁村の如きも、講壇に立つときは、....
「余興」より 著者:森鴎外
ものを聴いた。忠臣孝子義士節婦の笑う可く泣く可く驚く可く歎ず可き物語が、朗々たる音吐を以て演出せられて、処女のように純潔無垢な将軍の空想を刺戟して、将軍に睡壺を....
「白くれない」より 著者:夢野久作
の御難儀、定めし御空腹の事なるべし。昨夜の残りの粟飯なりとまゐらせむと云ふ。その音吐朗々として、言葉癖、尋常ならず。一眼にて吾が素性を見貫きたるものの如くなり。....
「里芋の芽と不動の目」より 著者:森鴎外
ではない。女中達も面白がって聞く。児髷の子供も、何か分からないなりに、その爽快な音吐に耳を傾けるのである。 胡麻塩頭を五分刈にして、金縁の目金を掛けている理科....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
声は、以前と同じく優しい子供らしい声で、しかもこの時は一層はっきりして、朗々たる音吐《おんと》になっておりました。 「道に迷ったんだよ」 駕籠屋は、不意や、お....
「待呆け議会風景」より 著者:宮本百合子
報告は拍手を浴びたが、畑陸相の声はなかなかききとり難い。武田信玄が万軍を動かした音吐の見事さは歴史にも語られているが、現代の将軍にその必要もないと見えて議席のあ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
したる有様こそ怪しけれ」 ことさらにいうとも思えないほどの自然な調子、朗々たる音吐《おんと》で、雅文体の問答をしかけられましたので、捕えられた男装の婦人は、 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
がら、物々しい声で朗詠のような調子をはじめました。男性を思わせるくらいの朗々たる音吐《おんと》でしたが、その調子の綴りを聞いていると、まさに一首の歌です。 萌....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。では、ひとつその淡窓流をまねてやってみます」 と前置をして、田山白雲は朗々たる音吐《おんと》で、次の詩を吟じ出しました。 君聞かずや胡笳《こか》の声最も悲し....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
う山形の上唇をして。体重は七百六十匁。すこし軽めです。けれども実に張りきった声で音吐朗々と啼《な》き、男の子のような勢です。可愛いこと！ 小さい小さい顔よ。鼻の....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
な興味と同感をもってそれを読むことだろうとおもいます。僕か日課を始める今でさえ、音吐朗々たるその声が耳にひびき、そのうるおいのある眼がけだるい甘美さを帯びて僕を....
「アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
全員起立、音楽がすむと直ちに余興が始まる。海軍軍服を着た立派な司会者が現われて、音吐朗々、プログラム通り少しも休みなく進行する。舞台はいつもより数間奥深く飾られ....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
まかりとおってしまうことである、と。現に邑井貞吉翁は、「頼政｜鵺《ぬえ》退治」に音吐朗々あの調子で「時鳥がホーホケキョウと啼いた」と演ってのけたことがあったが、....
「『唯研ニュース』」より 著者:戸坂潤
に一場の、講演をして除けた。その内容は今一寸云えないが、Ｉ氏の方が背が高いだけに音吐朗々たるものがあったことだけは報告してもさしつかえない。 河岸をかえてビー....