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「響く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

響くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
細君の溌剌《はつらつ》たる才気は、すっかり私を敬服させてしまいました。俗に打てば響くと云うのは、恐らくあんな応対《おうたい》の仕振りの事を指すのでしょう。『奥さ....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
って、やがて夕暮の色と共に、棗の実を食《は》み落す鴉《からす》の声が、寂しく空に響くようになった。喜三郎は気を揉《も》んで、甚太夫の側へ寄ると、「一そ恩地の屋敷....
日光小品」より 著者:芥川竜之介
ほのかな中から心細そうになきあわすとも聞える。ただ、野の末から野の末へ風にのって響くそうだ。なにものの声かはしらない。ただ、この原も日がくれから、そんな声が起り....
或る女」より 著者:有島武郎
そうだ、米国に着いたらもう少し落ち着いて考えた生きかたをしよう。木村だって打てば響くくらいはする男だ。……あっちに行ってまとまった金ができたら、なんといってもか....
或る女」より 著者:有島武郎
重い秘密を背負わなければならぬ自分を見いだした。このつらい意識はすぐにまた倉地に響くようだった。倉地はともすると敵の間諜《かんちょう》ではないかと疑うような険し....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
》りには三人の男が働いていた。鉄砧《かなしき》にあたる鉄槌《かなづち》の音が高く響くと疲れ果てた彼れの馬さえが耳を立てなおした。彼れはこの店先きに自分の馬を引張....
広津氏に答う」より 著者:有島武郎
芸術家はそんなことを主張するはずはないけれども)あるいはそれは実感として私の頭に響くかもしれない。しかしながら広津氏の筆によって教えられることになると、私にはお....
星座」より 著者:有島武郎
か》んでいた。 ほど遠い所から聞こえてくる鈍い砲声、その間に時々竹を破るように響く小銃、早拍子な流行歌を唄いつれて、往来をあてもなく騒ぎ廻る女房連や町の子の群....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
「出すべ」 そのさざめきの間に、潮で※び切った老船頭の幅の広い塩辛声が高くこう響く。 漁夫たちは力強い鈍さをもって、互いに今まで立ち尽くしていた所を歩み離れ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
三崎座の昼芝居の、つけを打つのが合間に聞え、囃の音がシャラシャラと路地裏の大溝へ響く。…… 裏長屋のかみさんが、三河島の菜漬を目笊で買いに出るにはまだ早い。そ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
あッという声がして、女中が襖をと思うに似ず、寂莫として、ただ夫人のものいうと響くのが、ぶるぶると耳について、一筋ずつ髪の毛を伝うて動いて、人事|不省ならんと....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
けても、稲の太るが嬉しゅうてなりませぬ、はい、はい。」 と細いが聞くものの耳に響く、透る声で言いながら、どこをどうしたら笑えよう、辛き浮世の汐風に、冷く大理石....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
その辺は老木がぎっしり茂っている、ごくごく淋しい深山で、そして不思議に山彦のよく響く処でございました。漸く山林地帯を出抜けると、そこは最う山の頂辺で、芝草が一|....
良夜」より 著者:饗庭篁村
憾みたり。巡査はまた一かえりして予が未だ涼み居るを瞥視して過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば十二時なり。これより行人稀となりて両岸の火も消え....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
挙げて、餌を更め、無心にして唯|中りを待ちけるに、一時間許り経ける時、果して鈴に響く。直ちに、綸を指して試むれば、尚放れざるものの如く、むずむずと二つ三つ感じた....