順境[語句情報] » 順境

「順境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

順境の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
明暗」より 著者:夏目漱石
も適当な眼でそれを見る、まあそのくらいの違《ちがい》だろうじゃないか。だからさ、順境にあるものがちょっと面喰《めんくら》うか、迷児《まご》つくか、蹴爪《けつま》....
」より 著者:夏目漱石
宗助はこれより以上立ち入って、坂井の事を聞いた事がなかった。学校をやめた当座は、順境にいて得意な振舞をするものに逢うと、今に見ろと云う気も起った。それがしばらく....
野分」より 著者:夏目漱石
満していると云った。かかる細君をもって充満しておりながら、皆円満にくらしている。順境にある者が細君の心事をここまでに解剖する必要がない。皮膚病に罹《かか》ればこ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
なるには尚いろいろ、苦しみもしたし悲しみもした。……だが今はまず平和だ。そうして順境と云ってもいい。……ただお前達二人の者が、私の後を継いでくれたらな」 この....
鼻の表現」より 著者:夢野久作
風に、その効果が眼の前に現われます。どんな場合でもフン詰まらず、如何なる逆境でも順境に引っくり返す事が出来て、世間はどこまでも拡がって行くように見える。とうとう....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
参の誇りの中に生き、豊かな経費を持って、欲しいものを購《あがな》い得られた。その順境に於て学問をして来たのである。だから、順境そのものが天然に与えられた当然の地....
源氏物語」より 著者:紫式部
前不幸な日のあったことで、ようやくまだ今日まで運が続いているのである、今後もなお順境に身を置いていては長命のほうが危《あぶな》い、静かに引きこもって後世《ごせ》....
丹下左膳」より 著者:林不忘
のがあるのではなかろうか。 もちろん、ここはそうなくてはならぬところ。世の栄誉順境のすべてを犠牲に、ともに誓い誓われたお艶ではないか。どこにどうしているかは知....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
をムリに押しつけて、いらだって青木を怒鳴りつけているのは、彼女のワガママである。順境にあれば礼節をわきまえ、逆境ゆえにむしろワガママになりがちなものではあるが、....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
は相当に成功した後も自ら質素倹約の範を示して、家風を奢侈に委ねぬよう努力を尽し、順境において成人する子孫に充分の活力を保たせてやらねばならぬのであって、これが出....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
私はやはりこの友を侮り難い秀才と思った。その後だ、この友からの手紙に、 「君は順境の幸運児なり。僕は逆境の薄倖児なり」 とあったのは。私はそれを読んで、胸を....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
りは、いかにも手ばなしの感で、大らかでもあるし、マジメでもある。思うに先生は生涯順境にあって、邪心を知ること少く、いかにも無邪気な人であるようだ。ハタから見れば....