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順応
「順応〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
順応の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
もあると同時に、又存外楽楽と消化し得ることもあるのである。こう云う無法則の世界に
順応するのは何びとにも容易に出来るものではない。もし地獄に堕《お》ちたとすれば、....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
だ、かぶっていた麦わら帽子をぬいで、それを高くさし上げて、パセティックな心もちに
順応させた。万歳の声は、容易にやまない。僕は君に、いつか、「燃焼しない」(君のこ....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
よって夕暮に適合する色よりほかには考えられない。赤、橙、黄は網膜《もうまく》の暗
順応《あんじゅんのう》に添おうとしない色である。黒味を帯びてゆく心には失われ行く....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
言われたので、ふと悲しくなった。が、さすがに敏感に、多鶴子の怒りを察して、それに
順応した。 「ほんとにそうですわね。あんな新聞記者! それになんですわ。生意気す....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
識|若しくは道徳としての価値が失われてしまう。私が無意識に、ただ外界の刺戟にのみ
順応して行っている生活の中にも、或は他の或る人が見て道徳的行為とするものがあるか....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
てもの山吹の心やりであった。 宇宙のあらゆる動物のうち人間と名付くる生物が一番
順応性を持っている。 こんなに苦しい境遇にあっても山吹は不思議に肥立って行った....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
戸口には居ませんでした。そこで私は次の術――即ち、木遁の一手であって身を木の形に
順応させ而てその木と同化させる所の所謂「木荒隠形」の秘法。それを使ったのでござい....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
軍慶喜に奉らしめ、平和に大政を奉還せしめ、令政をして一途に出でしめ、世界の大勢に
順応せしめ、日本の国威を揚げしめようとした。そこで慶喜は十月十三日、京都二条城に....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
はこんなことを思っている。――西岡夫人は実際特異の存在であった。時代を識り時代に
順応して、八十幾歳の長い生涯に複雑な経歴を閲しつつ、しかも平凡に、そのために更に....
「火の扉」より 著者:岸田国士
。第一、家庭そのものが、都会の生活をそのまゝこゝへもつて来て、少しも土地の生活に
順応するつていう風がないらしい。そうでねえか、北原君、君は家庭訪問をよくやるよう....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
」 「魚がかかると深く沈む」 「合憎、今日はかかりませんでした」 「相手によって
順応する……浮子の動作、洵にいい」 「浮子を釣るのでもござりますまいに」 「で、....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
から抛り出すようなこともあるのだ。どういうものか僕はそれだのに、それに易々として
順応しなければならないように習慣づけられているのだよ。僕を大連へおびき寄せた張本....
「全体主義」より 著者:国枝史郎
では国家がその全体性を活かす必要上統制経済を執行する場合、国民は喜悦して夫れに
順応し、それから発生する一時的の物の不足や不自由を克服すべきは、当然と云わずして何んぞやである。....
「城」より 著者:カフカフランツ
うに気がやさしくはないわ。あの子はとても気がやさしいのよ。つまり、わたしは生活に
順応することを知っているのね。でも、このことを白状しなきゃならないけれど、この三....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
なっていった定家の感覚には、精神生活の上へまで押し寄せてきている中世封建の空気に
順応して、己を活かし切ろうとする本能的な敏感さを認め得られるのである。封建制度の....