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頑な
「頑な〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頑なの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
、二、三度おいでになって、いろいろとお話をなさったようでございましたが、なにぶん
頑なな旦那様のことでお話はできず、親元へお引き取りということになったんでございま....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
忠告も、恐らく家人の注意と同じように聞き捨てられたに違いない。可哀想に、年老いた
頑なキャプテン深谷氏は、そうして我れと我が命を落すような怪我をしでかしたのではあ....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
は破戒僧のように見える――のはまず我慢するとして、女は第一愚図でのろまで、いやに
頑なで、法螺も吹かねば本当のことも言わぬ、全身これ秘密だらけ、といって深い謎も無....
「応仁の乱」より 著者:菊池寛
、二人の性格なり、ものの感じ方なんかがはっきり現れて居て面白いと思う。 流石剛
頑な山名宗全も、文明五年には齢七十である。身体も弱ったのであろう。既に軍務を見る....
「光の中に」より 著者:金史良
つも参加出来なかったことを私は知っている。 「どうだね、君も行くかい」 少年は
頑なに黙っていた。彼はこういう場合はこちらがどんなにやさしく持ちかけてもいつも疑....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、退屈な時の手慰みにもなると言ったという話もある。 もともと水戸の御隠居はそう
頑な人ではない。尊王攘夷という言葉は御隠居自身の筆に成る水戸弘道館の碑文から来て....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の前途をおのが狭い胸中に心配するところから、彼もこんな行為に出た。ただただそれが
頑な心のあらわれのように見られることはいかにも残念であるとするのが、彼の包み隠し....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
なかを近所の車宿まで草履ばきのまま歩いて行った。 庸三は汽車のなかで、その時の
頑な態度と、露骨な争闘とを思い出していたが、瑠美子を庸三から引きわけて胸に抱きし....
「死者の書」より 著者:折口信夫
者もなくなった。 新しい物語が、一切、語部の口にのぼらぬ世が来ていた。けれども、
頑な当麻氏の語部の古姥の為に、我々は今一度、去年以来の物語りをしておいても、よい....
「巴里のむす子へ」より 著者:岡本かの子
書いた。私はおまえのいうことを素直に受容れる。だが、この言葉はまた、おまえ自身、
頑な現実の壁に行き当って、さまざまに苦しみ抜いた果ての体験から来る自戒の言葉では....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
持ち返って手入れ致せ!」 老中の役目を真っ向にかざし豊後守はキメ付けた。しかし
頑なの芸術家はこうなってさえ折れようとはせず、蒼白の顔色に痙攣する唇、畳へ突いた....
「光は影を」より 著者:岸田国士
信であつても、今の自分にはどうすることもできない運命の声のようなものだ。 この
頑なともいえる彼女の宣言、彼女の悲願を、京野等志は、はじめ軽くうけ流し、それなら....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
の岩場の最下端に達する事の出来たのは八時半頃であった。これから上は見上るかぎり傲
頑な岩壁である。僅かな休息の時を採ると、直ちにすぐ上に拡っているなめたような一枚....
「妻」より 著者:神西清
誰一人近しい者はない。僕はこれまで片時だって君を慕わずに過ごしたことはない。ただ
頑なな自尊心がこの告白を妨げていたのだ。僕らが夫とし妻として暮らしていたあの過去....
「はつ恋」より 著者:神西清
短い言葉で受け答えしていて、眼を上げずに、ただほほ笑んでいた。――従順な、しかも
頑なな微笑である。この微笑を見ただけでもわたしは、ああ、もとのジナイーダだなと思....