» 頬笑

「頬笑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

頬笑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
目金《めがね》などの並んだ中に西洋人の人形《にんぎょう》の首が一つ、目金をかけて頬笑《ほほえ》んでいる。その窓の前に佇《たたず》んだ少年の後姿《うしろすがた》。....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
僕はその指環を手にとって見、内側に雕《ほ》ってある「桃子《ももこ》へ」と云う字に頬笑《ほほえ》まない訣《わけ》には行《ゆ》かなかった。 「僕はその『桃子へ』の下....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
だ。」 譚はこう言う通訳をした後《のち》、もう一度含芳へ話しかけた。が、彼女は頬笑《ほほえ》んだきり、子供のようにいやいやをしていた。 「ふん、どうしても白状....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
が、洋一の差し覗《のぞ》いた顔へそっと熱のある眼をあけると、ふだんの通りかすかに頬笑《ほほえ》んで見せた。洋一は何だか叔母や姉と、いつまでも茶の間《ま》に話して....
早春」より 著者:芥川竜之介
真の中に大きいピアノを後ろにしながら、男女三人の子供と一しょにいずれも幸福そうに頬笑《ほほえ》んでいる。容色《ようしょく》はまだ十年前と大した変りも見えないので....
少年」より 著者:芥川竜之介
ければ好奇心でもない。いずれも宣教師の哄笑《こうしょう》の意味をはっきり理解した頬笑《ほほえ》みである。 「お嬢さん。あなたは好《い》い日にお生まれなさいました....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
不治の病を負ったレオパルディさえ、時には蒼《あお》ざめた薔薇《ばら》の花に寂しい頬笑《ほほえ》みを浮べている。…… 追記 不道徳とは過度の異名である。 ....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
》める眉の下より異彩を放てり。 「どなたでしたか、いっこう存じません」 白糸は片頬笑《かたほえ》みて、 「あれ、情なしだねえ。私は忘れやしないよ」 「はてな」と....
婦系図」より 著者:泉鏡花
時分のように、お玄関の書生さんにしてお貰いなさいよ。 ああ、これは、」 と片頬笑みして、 「余り上等な墨ではありませんな。」 「可いわ! どうせ安いんだわ。....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
車夫が一人、腕組みをして、のっそり出る。 これを聞くと弥次郎兵衛、口を捻じて片頬笑み、 「有難え、図星という処へ出て来たぜ。が、同じ事を、これ、(旦那衆戻り馬....
南地心中」より 著者:泉鏡花
した処で、同伴のものに聞いた。 「今のは?」 「大阪城でございますさ。」 と片頬笑みでわざと云う。結城の藍微塵の一枚着、唐桟柄の袷羽織、茶|献上博多の帯をぐい....
黒百合」より 著者:泉鏡花
たので、ついとんだ羂に蹈込んださ、意気地はないな、忌々しい。」 とさりげなく打頬笑む。これに心を安んじたか、お雪もやや色を直して、 「どうぞまあ、お医者様を内....
歯車」より 著者:芥川竜之介
だいろいろのことを問いかけていた。僕はふと彼女の鼻に蓄膿症のあることを感じ、何か頬笑まずにはいられなかった。それから又僕の隣りにいた十二三の女生徒の一人は若い女....
式部小路」より 著者:泉鏡花
「勿論、枕を並べて。」 遠山金之助、 「え。」 竹永丹平は、さもこそという片頬笑み、泰然自若として、 「ま、ま、お聞きなさい。ここだ、これが眼目、此経難持、....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
だろうね。」 つい聞入って真顔で答えた。振袖は、島田の鬢をゆらゆらと、白歯で片頬笑をしているのに。―― 鬢のほつれに顔はなお白い。火沙汰に丘を駆けたというに....