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頬被り
「頬被り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頬被りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「逆行」より 著者:太宰治
た。檻の底に車輪の脚がついているらしくからからと音たてて舞台へ滑り出たのである。
頬被りしたお客たちの怒号と拍手。少年は、ものうげに眉をあげて檻の中をしずかに観察....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
獅子鼻《ししっぱな》を動《うごか》しつつ忌々《いまいま》し気にいうと、中に交った
頬被りの三十前後の女房、黄《きいろ》い歯を現わしてゲラゲラと笑い、 「白い物が何....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
には露が潤んで、折から真赤に夕焼けした空の光りが華※しく明るく落ちて、その薄汚い
頬被りの手拭、その下から少し洩れている額のぼうぼう生えの髪さき、垢じみた赭い顔、....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
あゝ熱いな、頭の上へ裸蝋燭を出す奴があるかえ、行灯を其方へ片附ちめえ、此の野郎|
頬被りいしやアがって、何処から入った」 と手拭をとって曲者の顔を見て驚き、 清....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
決意して身を百姓姿にかえて山を下り、里の夜宮に行って相変らずさかんな夜宮角力を、
頬被りして眺めて、そのうちにれいの荒磯が、のっしのっしと土俵にあがり、今夜もわし....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
、大袈裟な真似をしやがって、 と云う声がしたので、見ると大黒帽の上から三角布で
頬被りをした男が、不平相にあたりを見廻して居たが、一人の巡査が彼を見おろして居る....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
て、そして遥に遠く武蔵一国が我が脚下に開けているのを見ながら、蓬々と吹く天の風が
頬被りした手拭に当るのを味った時は、躍り上り躍り上って悦んだ。しかしまた振り返っ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、村の閑寂間か、棒切持った小児も居ない。 で、ここへ来た時……前途山の下から、
頬被りした脊の高い草鞋ばきの親仁が、柄の長い鎌を片手に、水だか酒だか、縄からげの....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ようにして、仄のりと、薄赤い、其屋の板障子をすらりと開けた。 「ご免なさいよ。」
頬被りの中の清しい目が、釜から吹出す湯気の裏へすっきりと、出たのを一目、驚いた顔....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
睨廻わす。 もう一人、袷の引解きらしい、汚れた縞の単衣ものに、綟綟れの三尺で、
頬被りした、ずんぐり肥った赤ら顔の兄哥が一人、のっそり腕組をして交る…… 二人....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
かつかと寄って、 「待てったら、待て。」とドス声を渋くかすめて、一つしゃくって、
頬被りから突出す頤に凄味を見せた。が、一向に張合なし……対手は待てと云われたまま....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
な珍味である。 このおなじ店が、筵三枚、三軒ぶり。笠被た女が二人並んで、片端に
頬被りした馬士のような親仁が一人。で、一方の端の所に、件の杢若が、縄に蜘蛛の巣を....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、小春凪で、ちと逆上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞も隠されず、
頬被りがわりの鳥打帽で、朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
た/\やって来る跡から、ピタ/\冷飯草履を穿き、半合羽に小さいお太刀を差し手拭で
頬被りをし、草履穿で、田舎帰りという拵えの男が、多助の傍へ寄り、 男「やい多助待....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
げて来たが、魔がさしたんだなア、もう喧嘩ア止めだ」 重助「お前さん、人の宅へ来て
頬被りしたなりは酷いじゃアありませんか」 仙「オヽ然うだっけ」 と
頬被りの手拭....