頭を上げる[語句情報] »
頭を上げる
「頭を上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頭を上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
少し、勇気があったなら、おれたちはとうの昔、どちらか死んでいた事であろう。……)
頭を上げると、太郎はいつか二条を折れて、耳敏川《みみとがわ》にまたがっている、小....
「運命論者」より 著者:国木田独歩
れて了《しま》った。 然《しかる》にふと物音の為《し》たようであるから何心なく
頭を上げると、自分から四五間離れた処《ところ》に人が立《たっ》て居たのである。何....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
。あらゆる偽善の虚栄心をくつがえして、心の底からおとよさんうれしの思いがむくむく
頭を上げる。どう腹の中でこねかえしても、つまりおとよさんは憎くない。いよいよおと....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
は吸取紙を取上げて、頭の上の電燈に照して見た。 「しまった」 彼は軽く呟いて、
頭を上げると唇を噛んで、じっと遠方を睨みながら、考え込んだ。 やがて彼は再び仔....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ことをせんでも宜しいよ、つか/\歩いてまいれ、成程立派じゃなア」 權「えゝ、まだ
頭を上げる事はなんねえか」 殿「富彌、余り厳ましく云わんが宜い、窮屈にさせると却....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
小格子から顔を出した。 三平は慌てて逃げ出した。 三平は考え考え歩いた。フト
頭を上げると警察の前に来ていた。暫く立ち止まって考えていたが思い切って中に這入っ....
「あひると猿」より 著者:寺田寅彦
ほどの間もぐって水底を泳ぎ回っているのに、親鳥のほうはせいぜい三四秒ぐらいでもう
頭を上げる。これはたしかにひなと親鳥とではその生理的機能にそれだけの差があること....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
黄色な菜畑に、げんげさくくれないの田に降らす、あぜの草は夜露からめざめて軽やかに
頭を上げる、すみれは薄紫の扉を開き、たんぽぽはオレンジ色の冠をささげる。堰の水は....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
彼等の方へそろそろと、しかし脇目もふらずに進んで行った。とうとう、木の葉の隙間へ
頭を上げると、沼のそばに、樹木が密に生えている小さな緑の谷がはっきりと見下されて....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
たりと泣き声を止めた。木下は云い知れぬ恐怖を感じた。彼は信子を呼び起そうとした。
頭を上げる拍子に、髪の毛が垂れ下って眼にかぶさった。彼は頭を振ってそれを払いのけ....
「故郷」より 著者:井上紅梅
なりましたこと」 一種尖ったおかしな声が突然わめき出した。 わたしは喫驚して
頭を上げると、頬骨の尖った唇の薄い、五十前後の女が一人、わたしの眼の前に突立って....
「風波」より 著者:井上紅梅
人々の脊筋の上にはまた汗粒を吐き出した。七斤ねえさんは三碗の飯を食い完って、ふと
頭を上げると、胸の中が止め度なくはずんで来た。彼女は烏臼木の葉影を通して、ちびの....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
てあげるから、ジッとしていらっしゃい。」 美沢の耳の後に、美和子の手がふれて、
頭を上げると、それが美和子の乳房を打つような感じだった。 雌蘂に抱かれた一|疋....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
過ぎるのも知らずにいた。 「鵜澤さん」 不意に枕許で呼ぶ声がするので、ひょいと
頭を上げると、下宿のおかみが蒼い顔をして、疑り深かそうな眼で、じッとこちらを見詰....
「博物誌」より 著者:岸田国士
、その眼の中に死の影が降りて来る。 向うで、百姓が、私の鉄砲の音を聞きつけて、
頭を上げる。そして、私の方を見る。 つまり私たちの審判者なのだ、この働いている....