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頭を擡げる
「頭を擡げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頭を擡げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:菊池寛
らしいものであることを、俊寛は悟った。ほのかな麦の芽が、磽※な地殻からおぞおぞと
頭を擡げるのを見たとき、俊寛は嬉し涙に咽んだ。彼は跪いて、目に見えぬ何物かに、心....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
と流眄で見、歩きかけた廻りをつづけた。 ルスタムは、辛うじて、定規の礼を行い、
頭を擡げると同時に口を切った。 「王、唐突な願いですが、何卒御所持の、あの血どめ....
「加護」より 著者:宮本百合子
しゃるかと思うと……」 肩を震わせて二つの袂の中に泣き崩れたお恵さんは、やがて
頭を擡げると、良人の遺骸の枕許にぴったりと寄添って、切れそうに唇を噛みしめながら....
「火のついた踵」より 著者:宮本百合子
アの面を過ぎる。歌、終る、沈黙。やがて、聴とれていたみさ子が、感動の溜息とともに
頭を擡げる。 みさ子 いいじゃあないの? 英一 何にしろ伊太利語は響がいいな。....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
してしまうのであろう」 一度は恐れ戦いてこの声にひれ伏した。が倨傲な心はぬっと
頭を擡げる。 「いくら苦しくても、意義が不明でも、雲の中へ消え込んでも、その原因....
「春」より 著者:宮本百合子
る間、順々に外光がたっぷり八畳に流れ込む。夜、森とした中で机に向ってい、ひょいと
頭を擡げると、すぐ前に在る障子の硝子面、外の硝子の面と、いきなり二重に自分の顔や....
「日輪」より 著者:横光利一
中で訶和郎の死体が反絵の腕を辷って倒れる音がした。反絵の指は垂下った両手の先で、
頭を擡げる十疋の蚕のように動き出すと、彼の身体は胸毛に荒々しい呼吸を示しながら次....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
潜むではないか。かの女の一般の若い生命を愛しむ母性が、この青年に向ってむくむくと
頭を擡げる、この青年はどうかしてやらなければいけない。だがそう思う途端に、忽ちか....