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頭越し
「頭越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頭越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
いるかも知れません。
ぼくは、舷側《げんそく》の手摺に凭《もた》れて、みんなの
頭越しに、この傷だらけのフィルムを、ぼんやり眺《なが》めていました。
義理人情....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
さあ、正体をあらわせ」 そういうと、ハイロよりも背の高いそのガン人は、ハイロの
頭越しに両手をのばして、三根夫のかぶっているお面の両耳をつかむと、手前へひっぱっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
も、現在やって来る人気者の何者であるかを突留めている者はない。ただ、遠くから人の
頭越しに、おびただしい旗と幟《のぼり》の行列がつづくのをながめているだけです。 ....
「古狢」より 著者:泉鏡花
見ているうちに値が出来たが、よう、と云うと、それ、その鯛を目の上へ差上げて、人の
頭越しに飜然と投げる。――処をすかさず受取るんだ、よう、と云って後の方で。……威....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
どうなった。 とりあえずそれが念頭に上ったものですから、七兵衛は幾つもの人間の
頭越しに、そちらを見ると、いる、いる。 しゃあしゃあとして、まだああしていやが....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
て、板一枚で一団を引き受けている蒲生泰軒、伸び上がり、闇をすかして、群らがり立つ
頭越しに声をかける。
さながら何かしら大きな力が戦機をかき乱しては制止するよう....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
きを見て取っていた。彼女は完全にクリストフを認めた。買い手たちと話しながら、その
頭越しに、眉根《まゆね》をよせて自分の賛美者を観察していた。彼女は法王のように威....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
「会堂だな。弥撒《ミサ》でちょっと味をつけた媾曳《あいびき》はいいからな。神様の
頭越しに横目とはしゃれてるからな。」
教会堂まで行くと、マリユスはその中にはい....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
岸とにいっぱいになっていて、河岸の胸壁の上にも女や男や子供らが立っていた。群集の
頭越しに、三人の男が組み立てている赤い木の台みたいなものが見えた。 一人の死刑....
「将棋の鬼」より 著者:坂口安吾
が強い。ナニ、お前なんか強いもんか。とうとう、離れた席で各々立膝となって、人々の
頭越しに怒鳴り合っている。 オレが強い、お前なんか、両々叫び合ったところで、私....
「田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
の川の脱衣婆《おばあ》さんのような眼を光らせて、姑《しゅうとめ》およしお婆さんの
頭越しに錦子を睨《にら》めつけた。 美妙の父吉雄が、およしの妹とずっと同棲して....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
れし野と染め抜いた小旗が微風《そよかぜ》にはためいているのが、雑沓《ざっとう》の
頭越しに見える。 女はにっこりした。男はぴったりと寄りそって、 「なあ、おきん....
「火夫」より 著者:カフカフランツ
「火夫がお前の心に魅入ったらしいね」と、伯父はいって、意味ありげな面持でカルルの
頭越しに船長のほうを見やった。「お前はひとりぽっちだと感じていたんだ。そのときお....
「審判」より 著者:カフカフランツ
っぷりした図体とはおよそ似つかわしからぬ干からびて骨ばった顔が見え、この顔が彼の
頭越しにもう一方の監視人と話し合っていた。いったいこいつは何者だろう? 何をしゃ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
がて若蘆の芽のくきくきと出揃う頃は、夕月の影をくだいて満ち潮のなごりが白ら白らと
頭越しに流れよるようになる。大空は梅が香の艶なにおいに朦朧として、月も曇りに近い....