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頷ける
「頷ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頷けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
わたっているばかりではなく、両眼にも、排泄物にも、流血の色にも、まざまざと一目で
頷けるものが残されていた。のみならず、その相貌は実に無残をきわめ、死闘時の激しい....
「縮図」より 著者:徳田秋声
見廻した果てに、いくらか人生がわかって来たし、人間の社会的に生きて行くべき方法も
頷けるような気がして、持前の圭角が除れ、にわかに足元に気を配るようになり、養子と....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
しろ悪感にしろ、とにかく今まで彼女の容姿に魅惑を感じていた人たちにも、微笑ましく
頷けることだったに違いなかった。 葉子は江戸ッ児肌の一色をも好いていたのだった....
「弟子」より 著者:中島敦
に見られていることを意識しているような孔子の挙措《きょそ》の意味も今にして始めて
頷けるのである。あり余る俗才に妨げられてか、明敏子貢には、孔子のこの超時代的な使....
「旅愁」より 著者:横光利一
千鶴子は、あれこそカソリックに少しも冒されてはいない緊迫した、真の日本人だったと
頷けるふしがあった。
「あれだ。あの千鶴子の方がはるかに美しかった。」
と矢代....
「気まま者の日記」より 著者:山中貞雄
う風に別々に進んだ方がいいのじゃないか」 と言う意味のことを書いていたが、一応
頷ける言い分ではあるまいか。 僕等が文芸家側から求めるものは、在来の映画物語で....
「芭蕉について」より 著者:宮本百合子
て江戸をさす古郷 にはじまる「野ざらし紀行」以後の一貫した態度であることは十分
頷ける。元禄七年五十一歳で生涯を終るまでの十年、芭蕉はきびしく生活と芸術の統一を....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
思えば先刻から高い大きな声で、妹に尽して来た数々の事柄をならべ立てていたのにも、
頷けるものがあるように思われた。 好い人なんだが、と私は次兄のおちつかない眼つ....
「青春論」より 著者:坂口安吾
め合っていたので試合までには及ばなかったのだという話で、なるほどあり得ることだと
頷けることではあるが、然し僕は武蔵のために甚だ之をとらないものだ。試合をしなけれ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
上川の河口を石巻にうつしたところを見ると、石巻を物産と運輸の要点と見ていたことは
頷けるのである。政宗も中央の政治家や政策に接して次第に大人になった人だから、後年....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
が、すでに私たちは大館へ出発した後であった。 彼がかくも強硬な申入れを行うのは
頷けるのである。たしかに大館へ行かなければ秋田犬を知ることが不可能であるばかりで....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
忍な、我儘な家老の評判はあちらこちらに響き渡っていましたから、ハハア! と僧にも
頷けるものがあったかも知れません。が、確かに許嫁は殺されているとは思っても、実否....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
て、何かにつけ、物事を理で解こうとする癖がついているようだ。自己の理智をとおして
頷けることでないと、心から承認することが出来ない人間になっている。剣のことばかり....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ったろうか。とすると、かつての古人たちが、みな多芸多能であったことが、当然として
頷けるし、また、武蔵が常に「一芸万能ニ通ズ」といっていたことも、分ってくる。 ....
「雨」より 著者:織田作之助
頃一寸話のあったお君を貰うことにしたのである。しかし、お君の美貌には彼も一眼みて
頷けるところがあったから、万更でもなかったのだ。もと小学教員の妻であるということ....