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「頸巻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

頸巻の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あいびき」より 著者:ツルゲーネフイワン
とう》をはおり、はしばしを連翹色《れんぎょういろ》に染めた、薔薇色《ばらいろ》の頸巻をまいて、金モールの抹額《もこう》をつけた黒帽を眉深《まぶか》にかぶッていた....
律子と貞子」より 著者:太宰治
ろい殺してやるから、そう思え! なんて、寒くない? 吉田は、寒いでしょう? その頸巻《くびまき》、いいわね、誰に編《あ》んでもらったの? いやなひと、にやにや笑....
佐渡」より 著者:太宰治
と答えた。 私は、あわてた。何が何やら、わからなかった。鞄《かばん》から毛糸の頸巻《くびまき》を取り出し、それを頸にぐるぐる巻いて甲板に出て見た。もう船は、少....
斜陽」より 著者:太宰治
は、いまからもう二十年の前、私がまだ初等科にかよっていた頃、お母さまがこれで私の頸巻を編んで下さった毛糸だった。その頸巻の端が頭巾になっていて、私はそれをかぶっ....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
裏あみばかりで、義理の姪に当る小さい娘のために、九つほどの息子のために、赤と茶の頸巻きをあみ、霜ふりの太い糸で老父の腹まきを編んだ。竹のすべっこい針の先と先とが....
道標」より 著者:宮本百合子
遊歩道の上で安心しきっておっかけっこをしている小さい子供らが、外套の上から毛糸の頸巻きをうしろでしょっきり結びにされたかっこうで、駈けて来ては通行人にぶつかりそ....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
来ました。まさか唐突にやって来まいと思っていたのが、やって来たのです。白い毛糸の頸巻きをして広島土産の蠣を籠に一杯ぶら下げてぼんやり立っています。大阪には親しい....
山峡新春」より 著者:宮本百合子
正月の風は悉くそこから流れて来るように思えた。 道傍の枯芝堤に、赤や桃色の毛糸頸巻をした娘が三人、眩しそうに並んで日向ぼっこをしていた。 女役者の一座がかか....
大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
ながら言った。 「雪なんぞはもうありあしないだろう。」寒がりのK君はうちの中でも頸巻《くびまき》をしたままで、小屋から出て来ようともせずに僕たちを促した。「早く....
農村」より 著者:宮本百合子
居ずきの「御ともさん」とお繁婆と女中とで午前の日が上りきって、暖い時に出かけた。頸巻《えりまき》はいくら毛でも鼻の先がひどくつめたい。祖母は、足袋の先に真綿を入....
蠱惑」より 著者:豊島与志雄
た。 私はラクダの毛織の長いマントを着、大きい鳥打帽を眼深にかぶって、それから頸巻で顔の下半分を包んだ。その頬の感覚が、特殊な私の世界に肉感の温味を与えた。 ....
金の十字架の呪い」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
、それはあんた方のよりはわしの職掌にあったのじゃからな。あんた方はそれが毛皮製の頸巻が全く短くあったかの如くに、ほんの二三の小珠が見えたばかりで、顎にズット近く....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
かかった。 彼はボードビルの劇場における事件の三日目に、古ぼけた外套を被って、頸巻に顔を埋め、ラマルチン広場からやや遠く離れたビクトル・ユーゴー街の共同椅子に....
凍るアラベスク」より 著者:妹尾アキ夫
、そこにあった大きな姿見の前に立って、暖かそうな駱駝色のコートと、同じ色の緑色の頸巻にくるまった自分の姿を映して、光線のぐあいか髪の恰好やからだったが、いつもよ....