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「頼みの綱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

頼みの綱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
とし物もなに一つない。あるものはおつむにのっかっている古わらじばかりだとすると、頼みの綱はおいらの知恵蔵一つだ。――干そうぜ!」 「え……?」 「おまえにいって....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
れましょう、忘れましょう、爾して事実だけ申しましょう」とて余の手を取った、云わば頼みの綱に縋る様な風である。 第九十九回 今以て大疑問 余は早く合点の行か....
婦系図」より 著者:泉鏡花
なっていらっしゃいます、と云う。 悄々玄関へ戻って、お嬢さんは、と取って置きの頼みの綱を引いて見ると、これは、以前奉公していた女中で、四ッ谷の方へ縁附いたのが....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
止まって、敢て彼女を責めようとはせぬ。 さわれ、取残された獄中の支倉は、唯一の頼みの綱を断ち切られて前途に全く希望なき身となった。深夜幾度か獄窓に凭れて男泣き....
死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
飴のようにうずくまってしまった。でも、今が生死のわかれ目と思うと、その心は最後の頼みの綱を求めて、思わず歎願の言葉となった。 「和尚さま、どうぞ勘弁してください....
火星兵団」より 著者:海野十三
め、何をわかりきったことを聞くのだと、言いたげな顔であった。 新田先生の最後の頼みの綱も、ついに切れた。先生は、千仭の断崖から、どんと下へ突落されたように思っ....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
には分けてやる一文の財産もなく、礼服一着こしらえてやれぬ。花嫁の然るべき持参金が頼みの綱であるから、富田病院という名題の長者の一人娘に持参金もないような、そんな....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
ないタチだが、天妙教にすがつてゐると野たれ死だけまぬかれる、この目当は老いの身の頼みの綱だから、オイボレ廃人狐つきの集団生活、不愉快きはまるけれども教会を裏切ら....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
けませんぞ」 加納邸が牛込矢来町にあったのは不幸中の幸というものだ。星玄坊主の頼みの綱といえば、紳士探偵、結城新十郎をおいて外にはない。紳士探偵は神楽坂に住ん....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
あなた方にお伝え致すのを躊躇しておったが、今となっては克子の心づくしの看病だけが頼みの綱。兄上の心を静めるように皆の者に代ってつとめていただきたい」 叔父の顔....
心霊殺人事件」より 著者:坂口安吾
ビルマから変な奴に乗りこまれちゃア先が真ッ暗になッちまうもんですから、旦那だけが頼みの綱で。どうか、まア、よろしくお頼みいたします」 三拝九拝のていで、くれぐ....
雪の宿り」より 著者:神西清
炎の中をどうして御一統をお落し申そうかと、只もう胸を衝かれるばかりでございます。頼みの綱は兼々お約束の松王さまばかり、それも室町のあたりは火にはかからぬと思召し....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
ず/\云うな、彼方へ行け」 多「はい、参りやす」 と言いながら出掛けましたが、頼みの綱も切れ果てゝ、これから先きは飢えて死ぬより外に仕様がないと覚悟を極め、何....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
人にとっては、僕の船こそ、その人が陸上で得られるどんな貴重な富とも交換したくなる頼みの綱だったろうに、と、僕は思いました。けれども僕は、北極に向って探検の旅の途....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
白兀の頂上を東南に向って下り始める。左手は絶えずガレが続いて、か細い山稜は偃松を頼みの綱にひびだらけの残骸を維ぎ留めている。小高い峰を二つ越えて、草の斜面を右に....