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頼もしい
「頼もしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
頼もしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
かな光に照される私の周囲だけに縮まってしまった。しかも私にはその周囲さえ、決して
頼もしい気は起させなかった。私の後《うしろ》にある床《とこ》の間《ま》には、花も....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
》の※《にお》いでも嗅《か》ぐような、身にしみて、ひやりとする、それでいてやはり
頼もしい、妙な心もちが致すのでございます。
二
御親子《ご....
「影」より 著者:芥川竜之介
捻《ひね》った。と同時に見慣れた寝室は、月明りに交《まじ》った薄暗がりを払って、
頼もしい現実へ飛び移った。寝台《しんだい》、西洋※《せいようがや》、洗面台、――....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
治修は三右衛門を正直者だと思っている。あの男はとにかく巧言《こうげん》は云わぬ、
頼もしいやつだと思っている。
こう云う治修は今度のことも、自身こう云う三右衛門....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
い、――いや、変らないどころではありません。昔よりも一層《いっそう》丈夫そうな、
頼もしい御姿《おすがた》だったのです。それが静かな潮風《しおかぜ》に、法衣《ころ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
町|様へ言入れるに違いますまい。それに河野と云う人が、他に取柄は無いけれど、ただ
頼もしいのが押の強いことなんですから、一押二押で、悪くすると出来ますよ。出来るよ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
ろ姿、一村の問題に登るだけがものはある。満蔵なんか眼中にないところなどはすこぶる
頼もしい。省作にからかわれるのがどうやらうれしいようにも見えるけれど、さあ仕事と....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
困ります」と言うのを、 「なアに、ふたりとも利口なたちだから、おぼえがよくッて末
頼もしい」と、僕は讃めてやった。 「おッ母さん、実は気が欝して来たんで、一杯飲ま....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
のように見えたほど、――時間はさまでにもなかったが、わけてこの座敷は陰気だった。
頼もしいほど、陽気に賑かなのは、廂はずれに欄干の見える、崖の上の張出しの座敷で、....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
向う見ずなものだったなあ、まあ、しかし俺はあんなことが平気で書けることを自分では
頼もしいと思っている。俺は口に出して実はいってみたいといつでも思っているのだがな....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ら、狭いのに寂然とした平屋の奥の六畳に、火鉢からやや蒸気が立って、炭の新しいのが
頼もしい。小鍋立というと洒落に見えるが、何、無精たらしい雇婆さんの突掛けの膳で、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ん、お前さんの目つきと、その心なら、ここにある印は不残お前さんの手下になります、
頼もしいじゃあないか。」 「うむ、」といって、重瞳異相の悪少は眠くないその左の目....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
に「蛇笏と云うやつはいやに傲慢な男です」とも云った。僕は悪口を云われた蛇笏に甚だ
頼もしい感じを抱いた。それは一つには僕自身も傲慢に安んじている所から、同類の思い....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
一間に招じた。上品な姉の、寝乱れた姿も見せず、早くきちんと着かえて、出迎へたのも
頼もしい。 途中、五位鷺の声もきかず、ただ西福寺裏で行逢った、寂しく、あわれな....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
……跡が出ない。が、爰で名句が浮んで来るようでは文人の縁が切れない。絶句する処が
頼もしいので、この塩梅ではマダ実業家の脈がある、」と呵然として笑った。 汽車の....